アルファロメオ147内装パーツ 本塗り

先日お預かりしておりましたアルファロメオ147の内装パーツ一式です。大変お待たせしておりましたが無事本塗り完了しておりますのでご安心下さいませ。

回転するツマミ部分は爪で引っかかっているだけなので外せると思うのですが、ここが破損するとASSY交換となる筈なので今回はマスキングで対応してしまいます。

ただしツマミの隙間には潤滑の為の油が塗られている為、本塗り時にそれが出て来ないよう念入りに清掃しておきます。

 下地処理は空研ぎの#800(アシレックスレモン)を使い、足付け処理のみとしています。

足付け処理は表面だけでは無く、側面( 断面)にもしっかりペーパーを掛けておきます。

本塗りはフチから回り込んで裏側まで塗るような感じなので、隙間からスプレー出来るようブリッジした状態で固定しています。

 ダイヤルは隙間に塗料が入るよう、少し浮くような感じにしてマスキングしておきました。

 そして色ですが、今回オーナー様から頂いているご要望として「白っぽい、きめの細かい、明るいつや消しのシルバーに」との事ですので、それらしいシルバーを選びます。

結果から言うと当初から予定していた真ん中の「STANDOX JLM-906」、SPFシルバーを原色そのままで使う事にしました。

画像右側のMIX819はメタリックの輝き(正面の白さ)はありますが、アルミナ粒子が大きいので却下です。

尚、MIX819は一応以前検証した記事がありますので、宜しければ下記ページをご参照下さいませ。

STANDOX MIX819試用

 左端のダースベイダーはMIX818で、比較的金属感があるのですが透かしの黒味がちょっと強い気がしたのでやはりこちらも今回は却下としました。

MIX818については以下の記事が判り易いかと思います。

MIX818 シルバー原色

 と言う訳で今回はJLM-906 SPFシルバーを使う事にしました。

ちなみにこのSPFシルバーですが、今までは大抵下地に「黒」を塗ってからバインダー(透明樹脂)で薄めたSPFシルバーを重ねた「3コートSPFシルバー」の仕様にしていましたが、これ単体を検証以外で使うのは恐らく今回が初めてです。

私的な見解としては、下に黒を塗らない分透かしが黒くはならないので、今回オーナー様が求める「白いシルバー」になるのでは、と考えました。どれも比較的新しい原色なのでデータ自体が少なく、恐らくは「SPFシルバーなんて使った事無いよ!」と言うSTANDOXユーザーも多いと思います。

ちなみにこの原色を使用する上で有名なのはマツダの「マシーングレープレミアムメタリック」(カラーコード:46G)で、最近CMでも良く見かけるあの黒っぽいボディカラーです。以下ページでも紹介していますので宜しければこちらもどうぞ↓

3コートSPFシルバ―塗装

 尚、オーナー様からはご希望のシルバー塗色の画像も何枚か頂いておりますので、今回選んでいるシルバーはそれを基に検証しています。ただやはり画像ですので、これでシルバーの色味・質感を想像するのはちょっと(と言うかかなり)難しいです。

 今回私が考えたシルバーとしては、ポルシェの内装に使われているような金属感のある高輝度メタリックシルバーに、艶消しクリアーを塗って「金属感を鈍らせる」=白くさせると言う仕上りをイメージしました。高輝度メタリックはクリアーを塗らなければかなりの金属感があるのですが(このインチキさは塗装屋さんなら判りますよね)、そのままだと今回想定しているシルバーにはちょっとキツ過ぎる、ただしそれに艶消しクリアーをしっかり塗り込めば丁度良くなるのでは?と考えた訳です。

と言うのも、最近艶消しの色見本ばかり作っていたので、その辺の特性がある程度判って来たという事でもあります。

例えばですが、こちらは少し前にお納めしたセルシオ内装部品塗装の為に作った色見本ですが、並んでいる色はどちらも同じ色です。左の艶ありに比べ、右の艶消しクリアーを塗った方は深みが無くなり白く濁っているのが判ると思います。今回のシルバーはこれをイメージしました。

 と言う訳で艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。ちょっと判り難いのですが、画像だと塗ったばかりなので艶がある状態です。

 その後30分程経ってから艶が消えた状態です。

 クリアーを塗る前に比べ、かなり金属感が無くなって落ち着いたのが判ると思います。

 それでいて正面の輝き=白さは残っているので、

 恐らくオーナー様がご希望されていたシルバーに近くなったのでは、と思う次第です。

 こちらも無事ハンドルからの油分を抑える事に成功し、ハジキ無しで綺麗に仕上げられたと思います。

判り易いようにそれぞれ並べてみました。

左側がベースコートのみ(JLM-906 SPFシルバー原色まま)で、右がそれに艶消しクリアーを塗った仕上りです。

クリアーを塗らないベースコートのままだと金属感が強いのでその差は明確ですが、それにしてもここまで変わるのか…と言う事が判ると思います。

この後の60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、数日寝かしたら完成となります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!