SHURE SM58マイク(レッド&ブラック)マーブル 本塗り

先日お預かりしておりましたSHURE SM58ボーカルマイクです。マイク本体は#800相当で研磨し、グリルはウォッシュコンパウンドとナイロンブラシで足付け処理を行っています。

今回はブラック&レッドキャンディーのマーブル塗装(ラップ塗装)で承っておりますので、まずはカラーベースの黒を塗布します。

通常であればここからシルバーを塗ってラップを被せるのですが、

今回は一旦トップコート=クリアーを塗り、2回(実際には3回)に別けて塗る事にしました。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、再度足付け処理を行います。

これで一旦「シンナーで溶けない黒」が出来上がりました。

ちなみにグリルは2回に別けなくても良かったのですが、ベースコートを塗ってからトップコート(クリアー)に塗るまでに時間を開けたく無かったので、こちらも一旦「黒」の塗膜として完成させておく事にしました(ベースコートとトップコートとの間で時間を空けすぎると密着不良になる為です)。

よく脱脂清掃し、エアーブローを行って埃を飛ばしたら本塗り開始です。

予めラップ(ポリエチレンフィルム)を用意しておき、

ウェットコートでシルバーを塗ったら、それが乾かない内にラップを被せて剥がします。

が!思うような模様が出せなかったので、一旦全部溶剤(シリコンオフ&シンナー)で拭きとりました。

ちなみに以前このマーブル塗装を行った時は、事前にテストピースを用意して一発本番!と言う方法にしていたのですが、その後「やり直しが出来る方が精神的にも楽なのでは」と思い、最初の頃に行っていたのと同じ今回の方法としました。

結果としては3回やり直し、4回目にして良い感じの模様に出来ました。

ちなみにオーナー様からは「行程が増えない範囲で黒の割合を増やせれば」といった事を伺っておりまして、全体の模様は細かいのですが、黒の面積自体は前回行ったゼンハイザーの時より増やせられたのでは、と思います(私的なイメージとしてはもう少し増やしたかったのですが、偶発的に出る模様なので中々難しかったです)。

グリルは上下のリングをレッドキャンディーで御指定頂いていますので、メッシュ部分をマスキングし、

マイク本体に使ったシルバー=MIX891を下色として塗っています。

ちなみに通常のキャンディーカラーであればメタリック原色の中で粒子が一番大きいMIX598を使いますが、そちらは全く隠蔽力が無いので今回のような「1コートだけを塗ってラップを被せる」と言う事には不向きとなり、なので今回はそのMIX598とMIX811と1:1にした物を使ったのですが、結局それでも輝度感が足りず、その後比較的粒子が粗く隠ぺい性も高くてさらにフリップフロップ性が高い(コントラストが強い)MIX891を使ったという訳です。

そして透過性の赤=レッドキャンディーを塗布します。

妙に艶があるのはハードナーが入っているからで、この時点ではまだベースコートとなります。

メッシュ部に貼ったマスキングを剥がし、

最後にクリアーを塗って本塗り(下塗り)完了です。

ラップを使った塗装はどうしても塗装面(ベースコート)に凸凹が出来るので、この後熱を入れて塗膜を硬化させたら、全体を研いでもう一度クリアーを塗るようにします。SHUREのロゴ入れ(デカール)もその時に行います。

模様をつける時はピッタリ締めた状態で、クリアーを塗る時は固着しないようネジを緩めて隙間を空けて塗っています。

下色の黒が溶けないお陰でベースコートの凸凹は浅くなりましたから、この後の研ぎ作業は手間が少なくて済みそうです。

グリルはこちらで完成となります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

Finalmouse TenZワイヤレスマウス塗装承ってます

先日到着しておりましたFinalmouse Starlight Pro – TenZ ワイヤレスマウスです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

こちらの製品は今まで何度かお問合せを頂いた事があるのですが、御依頼にまで至った事は無く、今回が初めてとなります。

色については3色のグラデーションで承っておりまして、

マウス先端=クリックボタンの方をこちらの紫系の色=「No.HL150」で、見る角度で色相が変わるクロマフレア系、マジョーラ風の塗色となります。以前ランエボのヘッドカバーにグリーンとのグラデーションで採用した色ですね。

マウス後方(握った時の手前) も同じくマジョーラ風の顔料で、こちらは青系の「No.19」で承っています。

それぞれの色の塗り分け範囲はこのような感じで、中央の面積が広い部分を「黒」に、それぞれグラデーションで色分けを行います。また艶具合は「半艶」で承っています。

底部分になるパーツは単色の黒=「半艶黒」で承っています。

と言う訳で、早速分解を行ってみました。

こういった分解作業については私の個人的な趣味として行っていて、なので費用は発生しませんが、それ故に破損や不具合等には保証・補償が出来ませんのでご了承くださいませ(とは言ってもそういった事は一度もありませんのでご安心くださいませ)。

ソール等の消耗品については新しい物に交換されるとの事で、ただこちらの赤外線センサー部を固定している両面テープは部品が出ないかも知れないと思ったので、一応再利用出来るように綺麗に剥がしておきました。糊がくっつかないシートで挟んで保管しておきます。

そして今回塗装するのがこちらの4部品となります。クリックボタンはてっきり左右で分割されるかと思いきや、一体型となっていました。上と側面はマグネシウム合金で、底はプラスチック素材です。

下地処理(足付け処理)はそれぞれ分解した状態で行い、本塗り時のベースコート(グラデーション塗装)はこのような形に仮組みしたような感じで行って、最後のトップコート(半艶クリアー)塗装時はそれぞれ別けた状態で行おうと思います。以前施工したロジクールG PROワイヤレスマウスと同じような方法ですね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!