1/43ポルシェミニカー×2 本塗り

 分解~足付け処理を行っておいた1/43サイズのポルシェミニカー2台です。

 良く脱脂清掃し、本塗り開始です。

 ミラーは外した状態で塗装します。一応こちらにはプラスチックプライマーを塗っておきました。

 まずは下塗りとして少し黄色味の付いた白を塗ります。具体的にはVWのハーベストムーンベージュです。

 ボンネットのフチなどに溜まったクリアーは当て板を使って#800で研いでフラットにしています。

 そしてベースコートの塗布が完了です。色はポルシェ純正色の「ガーズレッド」(カラーコード:80K)となります。

 十分乾燥させた後、場所を二階に移します。

トレーに張った水に少量の木工用ボンドを溶かし、予め作成しておいたデカールを浸けます。

デカールの作成については下記の社外記で紹介していますので宜しければご参照下さいませ。

http://pro-fit.ne.jp/wordpress2013/wordpress/2017/05/12/143%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%AB%E3%83%BC%E7%94%A8-%E3%83%87%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%BD%9C%E6%88%90/

デカール用の接着剤(マークセッター)を使い、 所定の位置に貼り付けます。

 マークセッターの容器には第二石油類と記載されている為、恐らくはアルコール系の半水溶性といった溶剤系の接着剤で、揮発乾燥または融着乾燥といった接着になりますが、木工用ボンドの方はエマルジョン系接着剤の為、乾燥では無く「重合反応」となり、クリアーを塗るまでの乾燥(重合反応)時間は少し長めに取るようにしています。

塗料や接着剤がくっ付いたり固まったりするのには「乾燥」「重合」「硬化」等といった種類があって、例えば1液ラッカーであれば「乾燥」になる為シンナーを掛ければ再び塗料が溶けますが、水性塗料は一旦乾けば水で溶けないのでこれは「重合」(多分ですが乳化重合)となり、STANDOXなどの自動車補修用塗料は「主剤と硬化剤」を混ぜて反応させる「硬化」となる為、水性塗料の場合と同じく一旦固まれば溶剤で溶けたりはしません(剥がす事は出来ますが「溶ける」とは違います)。

ちょっとこの辺の解釈は難しいのですが、ある程度理解しておけばチヂレや硬化不良などのトラブルを未然に防げるようになったりします。

 と言う訳で一日置いた後、クリアーを塗って本塗り完了です。

 クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」で、一応ボテっとした仕上がりにならないようシンナーの希釈率を少し高くしておきました。先日本塗りをしたメガネと同様、15%の所を20%にしています。

 ただ耐タレ性能の高いクリアー程レベリング&表面張力が働き、どうしてもフチに溜まりがちにはなります。この辺がアクリルウレタンベースで来た国産塗料と、ポリウレタンベースで来た外資系塗料の大きな違いでもあって、前者は塗装ブースが無い環境でもゴミが付かないよう「速乾」を特徴としていますが、後者は塗装中にゴミが付かない状況=塗装ブースありきでの塗装を想定している為、表面乾燥が遅くゴミも付き易いと言う反面、レベリング性能を高める事によって「塗ったそのままで美しい仕上がり」を実現出来るようになっています。

と言っても最近の国産塗料も良くなっているとは思うのでそこまでの話では無いと思いますが…(その辺は全然判らないのですいません…)。

 見る限りではゴミも付いていないので、このまま磨き無しで完成とする予定です。

 デカールも浮かず綺麗に仕上がっていると思います。

 現状ではデカールの段差は判りませんが、乾燥硬化後には多少なりその跡が出ると思います。

ただ貼ってある面が湾曲しているのでこれも磨き無しで判らない仕上がりになるとも思っています(まだ熱を入れていないので何とも言えませんが)。

 ドアミラーはかなり小さいですが、蛍光灯が写り込んで一丁前にそれらしく見えたり(笑)。

 さすがに物が小さくので、いつものレンズ(18-105mm)では撮影が難しく、今回はマクロレンズ(40mm)を持ち込んでいます。

 一応色見本用として注型ミニカーにも塗っておきました。

しかもデカールが余っていたのでそれも貼って(笑)。

この後熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、サイドダクト部をつや消し黒に塗って各部を組み付けたら完成予定です。もう少しお時間掛かると思いますがどうぞもう少々お待ちくださいませ!

ロータスエキシージヘッドカバー塗装 完成

 大変お待たせしました!ロータスエキシージV6エンジンのヘッドカバー×2、STANDOX 3コートSPFシルバーの塗装で完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

 元々は普通のアルミ鋳造ヘッドカバーで、

表面はザラザラとした梨地にパーティングラインなどのバリもあり、

また元々あった凸部の研磨平滑化もご指定頂いておりました。

アルミ素材なので当然手で簡単に削れる訳は無く、主にシングルアクション系のサンダー(エアーツール)を使って素地調整を行い、

「研磨→プライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった工程で平滑な下地を造りあげました。この形状で(笑)。

 また使用した塗料は通常のシルバーでは無く、比較的扱い易くなった高輝度メタリックのSTANDOX JLM-906を使い、下色に黒を塗る3コート仕様で金属感の高い仕上がりにしています。

 また今までの高輝度メタリックのように足付け処理無しで塗装を塗り重ねるような事はしていない為、耐久性は通常の塗装と同様に出来ているのが特徴です。

また一部のネジ穴を埋める作業も承っていましたので、そこにはプライマーを塗ったイモネジを奥まで捻じ込み、

構造用エポキシ接着剤を使って平滑に仕上げています。

 途中に熱を入れる工程で穴の跡は出ていませんので、今後もそれが浮き出て来るという事は無いと思われます。

 ただ思っていたよりも素地の歪が大きかった為、目立つ穴埋めをした箇所の天面は広範囲にエポキシを塗って平滑なラインに仕上げています。

 この形状でタップリ塗ったサフェーサーを研ぐのは中々に大変でした。

 塗装屋さんなら判ると思いますが、単にサフェーサーを研ぐだけでは研ぎスジや肌目が残ってしまう為、ほぼ全面当て板(ヘラや小さいアクリル片など)を使ってペーパー研ぎ作業を行っています。

 ただし高輝度メタリックは通常のシルバーメタリックに比べてさらにペーパー目が出易い(粗が判り易い!)と言う事もあって、サフェーサーを研いだそのままでは到底塗れず、一旦は艶ありの黒(通常通りの2コート仕上げ)で下塗りをし、その上に本塗りを行っています。

 SPFシルバーはメッキと言うよりかはアルミに近い質感です。

 原色であるJLM-906をバインダー(ベースコート用の透明な樹脂)で6倍に希釈し、下色の黒を完全に隠蔽させないようにして透かした時の黒味を表現しています。

 この形状で全体に均一に透過するシルバーを塗る為スプレーは多方向から、またエアー吹き返しの少ない低圧ガン(デビのDEMI 口径1.0mm)を使って対応しています。

 どうしても塗料が入らない個所はノズルパターンを最小にして狙い撃っています。画像左上にある柱の間などはそうですね。普通に塗っても色は入りません。

 この辺の逆アールライン箇所もかなり凸凹でしたが、サフェーサーの塗布~研磨で綺麗なラインに表現出来たと思います。

 しかしいつもの事ですが、ここまで大変だとは思いませんでした(苦笑)。

 オイルキャップが装着される個所やガスケットが付く面は塗装せずアルミ素地をそのまま残した仕上りにしています。

 一応室内の照明下でも撮影してみたのですが、

 メタリックの輝きが強過ぎて白飛びしてしまい、上手く撮れません…。

画像は全て未加工で、撮ったそのままでの掲載となっております(サイズの縮小のみしております)。

それでは後程完成のお知らせメールを差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!