自転車用ホイール マスキング

wheel  こちらもお待たせしました!自転車用の(異様に太い)ホイールは作業着手しておりますのでご安心下さい。

今回は元々艶消し黒に塗られたホイールを「リムのみを半艶のオレンジに」との御依頼でして、比較的簡単そうに思えますが実際はとても大変です。塗装屋さんなら判ると思いますがこれは非常に気を遣う作業になる訳でして・・・。

wheel1スプレー塗装はちょっとした隙間からでもミストが入り込んでしまいがちで、しかも今回は内側が艶消し黒ですから万が一でも色が飛ぶと磨きも出来ませんから(そこだけ艶が出てしまいます・・・)、結果今回はこういった「極力継ぎ目を作らない」貼り方にしています。

wheel2 本来こういった貼り方はビニールマスカーが向いているのですが、実は1メートル幅の物しか在庫していなかったので今回はいつもの紙製のロールマスカーを使っています。

ロールマスカーは300ミリの物と550ミリの物を主に使っていて、ちなみにそれを装着している器具は私が見習いの頃から使い続けている物で、もう体の一部となってしまっています(笑)。

wheel3 そして綺麗に畳んでこんな感じにします。紙とマスキングテープは最初からくっついているので、この時点で空気が入る箇所は中央からのみとなっています(といってもその隙間を伝っていくのですが)。

wheel4 そしてこんな感じで全ての折り目と継ぎ目をマスキングテープで塞ぎます。今回は念には念を入れているのでちょっと大げさですが、いつも行っているマスキングも基本的には同じです。目で見て隙間が開いているような事はありません。車のボディなどでは左側面を塗っているとドアの内側などを伝ってグリルフィンやボンネット隙間から、さらには右側面のドアの隙間からもミストが吹き出て来たりします。ディーラー在籍時に新車納車直後のコーティング済み車両を補修塗装するなんて機会がありましたが、そういった場合はまずは全てのチリの隙間をテープで塞いでから全体のマスキングを行うなんてこともやりました。そういったケースで不祥事を起こすと「もうこんな車要らないよ!」なんて事に成りかねませんからね(何故かこういう仕事は下々の方に回ってくる訳でして・・・)。

wheel5一般的には「見切りライン」のマスキングを一番最初に貼りたくなるのですが実際はその逆です。ここを一番最後にしないと途中の処理がやり難いですし、塗った後に剥がすのが難しくなってしまいます。

今回はプレスラインの「山」の頂点を見切りラインとするので、そこから5ミリくらい内側の適当な位置までマスキングをしておきます。といってもこれの直ぐ内側にはもうスポークがあるのでこれ以上奥には貼れないんですよね(苦)。

車(4輪車)のホイールと違って、今回のような自転車やバイク用のホイールとなるとこれを裏表行うので実は結構大変です。塗る面積も小さいので「安く出来るのでは」と思いがちですが実は全くの逆で今回は割高の費用になっています。それでもスポークを全部分解するより(しかるべきところで脱着をして貰うより)はマスキングで行った方が色々スマートなのではという事でこのままでの御依頼となりました。

さらに言うと今回は黒の上にオレンジを塗る訳ですから、隠蔽性の悪さからして膜厚が多く付いてしまう事が懸念されますので、シャープなラインに仕上げる為には普通のやり方ではちょっと難しいと思います。本来であれば「一旦全部オレンジに塗ってから黒を塗る」のが正解なのですがスポークがある以上それも出来ませんし・・・。という事で今回はその辺も何か工夫が必要になるかと思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。うーん、胃が・・・(笑)。

SPENGLEカーボンホイール 完成

spengle大変お待たせしました!ドイツSPENGLEのカーボンホイールはようやく完成となります。ちょっと予定よりも長くなってしまいました。下地が想定以上に大変でしたが今では良い思い出です(いや、そんなに昔の事じゃないですが・・・)。

spengle1 元々の艶ははっきりしない状態で見た目としてはこれよりも少し艶があるように見えましたが、それは恐らく長期間使用している内に擦ったりオイルが付いたりして艶が出てしまったのだと思います。なので今回はそれを考慮して「3分艶」としました。艶消しより艶があり、半艶よりも艶が無いといった艶具合ですね(解り難いですか・・・)。

spengle2 元の状態としては、スポークの根元の力が掛かる箇所の殆どにパテの割れが生じていましたが、それらは全て削り落とし新たに下地を造り直しています。その下にはエポキシ層も入れているので元の状態よりは割れ難くなっているとは思います。

ただ相当昔の物のようですからそれも考慮した使い方が必要かも知れませんけどね。ポルシェバイクに履かれる(履いていた)との事ですから、これで無事元の鞘に納まるといった所でしょうか。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

SPENGLEカーボンホイール×2 本塗り

spengle11こちらもお待たせしました!下地作業は随分長くなりましたがようやく本塗りまで来ました。いやはや当初予定していたよりも随分と大変な作業になってしまいましたがお陰でヒビ一つ無い状態に到達致しました。

画像はサフェ研ぎの作業で、下地処理でもここが一番重要ですから時間も掛かるところです。とにかくペーパーの番手を沢山使いますからね。

spengle9 本塗りの時はブースの天井からぶら下げて塗ろうかと思いましたが、これだと安定しないので結局サフェーサーの時と同じく鉄棒を通して塗る事にしました。何を勘違いしていたんでしょうか。

spengle10 ベースコートの黒を塗ったら「3分艶」のクリアーを塗ります。当初は「半艶」を予定していましたが、元の状態からすると半艶はちょっと艶があり過ぎてどうもインチキ臭い気がしたので、艶消しと半艶の間をとって今回は3分艶としました。

画像はクリアーが塗り終わった状態で、この光景はいつも通りですね。ここから徐々に艶が消えていきます。

それでは完成までもう少々お待ち下さいませ!

SPENGLEカーボンホイール サフェ入れ

本件とは全く関係ありませんが「超伝導」がいよいよ実用化されるみたいです。マイナス200℃の低温じゃないと成り立たないなんてとても使い物にならないんじゃ無いかと思っていましたが、まさか車のエンジンルーム内でこれを実現するなんて・・・。是非今後に期待したいところです。

spengle7 で、問題の(笑)カーボンホイールです。ようやく形が整って来ました。

再度マスキングをし直していよいよ下地塗装の最後「サフェーサー」の塗布となります。

spengle8ここまでの工程を整理しますと、

旧塗膜(割れたパテ)研磨除去→エポキシサフェーサー塗布→完全硬化→研磨→スプレーパテ(ポリパテ)塗布→完全硬化→研磨→ウレタンサフェーサー塗布→完全硬化

といった内容で、どれも下地用の塗料となりますが使用している「樹脂」はどれも違う種類の物なのが解かると思います。

「エポキシ」→「ポリエステル」→「ウレタン」

といった感じで、それぞれの樹脂の特徴を活用した下地のお手本通りの使い方ですかね。ちなみにエポキシの特徴としてはまさに強固な塗膜形成(結合)ではありますが、一般的なエポキシ樹脂は紫外線に非常に弱いという性質があるので実は下地での使用しか向きません。

これに似た樹脂としては日本に古来からある天然樹脂の「漆」で、とても丈夫な樹脂である反面エポキシ同様紫外線に弱いので紫外線下では劣化が早いです。長い間土の中に埋まっていた漆器が当時のままの形や色で残っていたりするのはこういう事ですね。酸やアルカリ、熱や湿気には強いのです。

SPENGLEカーボンホイール 下塗り②

spengle6先日塗っておいたエポキシサフェーサーが硬化した状態です。

ひび割れていたパテは全て削り落としていますが、それによってラインはかなり崩れてしまっていますからここからはパテで整えていきます。スポークの根元部分は特にひどくなっているのが解かると思います。

ただホイール全体にパテをヘラで付けるとなると今度は研ぎの作業が大変な事になりますので、今回のような場合は「スプレーパテ」が有効です。これはその名の通りスプレーで吹き付けるパテの事ですね。

spengle4 全体的に表面を軽く研磨して足付け処理をしておいたらマスキングをし直してスプレーパテの準備をします。もちろん良く脱脂もですね。

spengle5そして全体にパテをスプレーします。見た目はサフェーサーと変わりありませんがそれとは全く違って、これは純粋にパテですので樹脂分もポリエステルになります。スタンドックスはこういったスプレーパテも補修システムの中に入っているのです。材料はちょっと高価ですがこれの便利さは一度使うと手放せません。

画像は既に塗り終わった状態でリム部のマスキングテープも剥がしてあります。ちなみにこういった下地の塗装時には見切りラインギリギリでマスキングをするのでは無く、丁度良さそうな「山」のライン部分で見切るのが基本です。この時点でマスキングの段差が出来ても山になったラインの頂点なら研いで平滑にするのが楽ですからね。塗装の基本です。

これで下地の塗装は二回目ですが、まだサフェーサーを塗っていませんのでここからまだもう一回同じような作業があります。その都度「研ぎ」の作業もありますし(これを研ぐのが一番大変です・・・)マスキングも張り直す必要もありますから、下地作業は地味な上に結構大変な作業になります。

が、塗装作業の殆どはこういった下地作業ばかりなので実際にはそんなに苦では無かったりします。手を掛ければ掛ける程良くなっていくのが目で見て解かるので、その点は本塗りよりもこういった下地作業の方が実は楽しかったりするのです。