フェラーリ鍵 本塗り

ferrari117先日分解を終えていたフェラーリ F430 F1のリモコンキーです。

作業は結構前から着手しておりまして、無事本塗りも終えておりますので下地処理も含めて作業内容を紹介させて頂きますね。

ferrari127今まで施工したこの型のリモコンキーは新品時の塗膜の密着性が悪かったのですが、今回の鍵は比較的密着性は良好でした。ただ念の為いつものように見える個所の塗膜は殆ど剥がしています。

ferrari128今回は久しぶりに真ん中の部分も塗装しますので、こちらも同じように#240のペーパーを使って黒のラバーコートを剥がします。

ferrari129念の為プラスチック素地には火炎処理を行い、プラスチックプライマーを塗って続けてサフェーサーを塗布します。

またエンブレムとゴムのボタンが着く個所はサイズがキツくならないよう様にマスキングしてあります。

ferrari130こちらもカバーが引っかかる爪部分をマスキングをしてサフェを塗ります。

ferrari131その後60℃40分以上の熱を掛けてサフェーサーを完全硬化させ、#600→#800の水研ぎでラインを整えます。またサフェーサーが塗っていないパネルの裏側や溝の奥なども#800でしっかり足付け処理をしておきます。

ferrari121各部のマスキングをし直し、本塗り開始です。

ferrari122 黒い部分はプラスチック素地なのでプラスチックプライマーを忘れずに塗っておきます。樹脂素材は記載が無いので判りませんがペーパーを掛けた時の感じからしてPPのようなオレフィン系だと思われますのでプライマーを塗り忘れたらアウトです。

ferrari123 ベースコートの赤を塗り、クリアーを塗って本塗り完了です。

ferrari124 尚いつも鍵を塗る時はロッソコルサ(カラーコード:300)ですが、今回はオーナー様のご指定でROSSO SCUDERIA(カラーコード:323)を採用しています。ロッソコルサに比べるとかなり明るい赤(朱色)っぽい色味となります(黄色の原色がかなり入りました)。ブレンボキャリパーのレッドに近い感じですかね。

ferrari125 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーを使用しています。

ferrari126今回のROSSO SCUDERIA(カラーコード:323)を使うのは多分初めてで、他にロッソコルサの300と322の色見本はありますので、今回こちらも色見本を作成しておく事にしました。

この後熱を入れて完全硬化させ、少し長めに寝かしてから組み付け作業を行う予定です。もう暫くお待ちくださいませ!

スーパーセブン プリプレグカーボン クリアー下塗り

seven22先日作業前の準備として土台となる木型を作成していたスーパーセブンのプリプレグカーボン製のボートカバー(トランクカバー)です。

カーボン成型時のウネリは仕方ないにしても、下塗りの段階で出来たと思われる凸凹の肌はある程度均したいので最初にこれを削っておきます。

seven23最初は#320のダブルアクションサンダーで表面の凸凹を平らに削り、その後クッションパッドを間に挟んだ#400のダブルアクションサンダーでペーパー目を均します。

ダブルアクションサンダーで使うペーパーは予め丸くカットされた物で、糊が着いた物やマジックテープタイプの物など色々使い分けます。パッド(ペーパー)の大きさとしては125mm径の物が一般的ですが、場所によっては小さくないと入らない個所もあるので80mm径の物を使ったりもします。

その他シングルサンダーやオービタルサンダー、ギアーアクションサンダー・ベルトサンダーなど、用途によってそれぞれ使い分けるので、大抵は塗装屋(板金屋)一人でも15個~20個くらいは持っているのが普通です。

seven24今回はそうでもないですが、気合を入れて削る場合は粉塵が凄いので、サンダー自体を吸塵機(掃除機)に繋いで使うタイプなどもあります。当店の場合は対象が小物となった事で大掛かりなパテ研ぎ作業が殆ど無くなった事と、塗装ブースの排気装置がそのまま集塵機として使えるのでわざわざ吸塵機用のサンダーを使う事は殆ど無くなりました。

seven25 全体を綺麗に掃除し、裏側をマスキングしておきます(本来こちらを先にやっておくべきでした)。

seven26 塗装はフチ(とその断面)まで塗りたいので、裏側のマスキングは0.5ミリくらいオフセットして貼っておきます。

seven27 その後耐水ペーパーの#600→#800を使って水研ぎをします。

seven28 その後よく清掃し、十分に脱脂を行ったら下塗り開始です。

通常の本塗りであれば最初にベースクリアー(1液ベースコートのクリアー)を塗る事もありますが、むしろ下地の様子を見たかったので直接クリアー(2液ウレタン)を塗布します。

seven29 下塗りとしてのクリアーを1コート塗った状態で、大きなハジキは少ないですが、やはりと言うか細かい穴が無数に開いてます。

seven30 細かい巣穴はその後のクリアー(今回は3コート)で埋まるとして、大きい巣穴は予めコート毎の間にクリアーを筆指しして埋めておきます。

ちなみに「筆指し」と言っても今時本当の筆を使う塗装屋さんは稀で、それ専用の物があります。適量にクリアーが筆指し出来るよう各サイズもあってとても使い易いです。

seven31 まず一回目の下塗りはクリアーを3コート塗って終了です。クリアーには軟化剤を5%入れてあります。主剤95:軟化剤:5:硬化剤50:シンナー30といった割合です。

seven32 一度に5コート塗る事も可能ですが、そうすると塗膜表面に細かい気孔が出たりと良く無い事が起こるので普通(私)はしません。厚く塗りたい場合は一旦硬化させて研ぎ出してまた塗るという事を繰り返すのが一般的です。

seven33塗膜が少し盛り上がった個所は、クリアーのコート間に筆指しをした個所で、スムースになっているのが判ると思います。

seven34こちらはクリアーを塗り終わった後にクリアーを筆指しした個所で、その差が判ると思います。

今回はさらに下塗りを行うので粗い番手(再び#320~)で研ぐので問題ありませんが、このまま磨いて仕上げる場合は最初のようにクリアーコート間で筆指しをしておいた方が後の作業は楽になります。

seven35こちらは側面部分で、この辺は大きい巣穴が集中していました。

seven36よく見ると小さい気孔が無数に開いていますが、恐らくこれは下塗りの時点で垂らしたか、或いは一度に極端に厚塗りしたせいで塗膜に穴が開いてしまった物と思われます。一つ一つは極小さい物なので次の下塗りで埋まってくれると思いますからご安心下さいませ。

既に熱も入れてますので(ウェットカーボンでは無いのでその辺は気を使わなくて安心です)、数日寝かした後にまた研いで下塗りクリアーを行います。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

Ferrarri355 Engine Tappet Cover

ferrari7フェラーリ関係で多いのがテスタロッサ系とこちらのF355ヘッドカバーです。タペットカバーとプラグカバーが別体となっていて、この時は1セット+プラグカバーのみをご依頼頂きました。

ferrari8フェラーリ系のヘッドカバーはプライマーが塗っていないので経年で塗装が剥がれてしまうのですが、車体自体が貴重なので再塗装して復活する機会が多いのだと思います。

ferrari10 再塗装の際には必要な下地処理を行い、プライマーも塗装するのでその後新車時の塗装のように簡単に剥がれる事はありません。

ferrari11 エンジンのオーバーホール時にと言う事で、業者様からのご依頼も多いです。正規ディーラー様からもご贔屓を頂いております。

ferrari12 ferrari9フェラーリのエンジンパーツの場合は純正の状態を優先し、研磨したアルミ素地には基本的にクリアーを塗りません。酸化(腐食)の進行は早くなりますが、金属素地そのものの輝きが残るのが特徴です。勿論ご希望によりクリアーを塗る事も可能です。お気軽に申し付け下さいませ(クリアー筆塗りは結構面倒なのですが、私的には何もしないで腐食していくのが嫌なのでサービスで対応しております)。