日産L型ヘッドカバー 凸文字貼付け

nissan7先日旧塗膜を剥離するべく溶剤槽に着けておいたヘッドカバーから塗膜と一緒に剥がれてしまった凸文字です。てっきり両面テープかと思っていましたが、どうやら一応は接着剤で固定されていた模様です。ただ、ただのシンナーで剥がれてしまうというのもかなり問題ですけどね。透明なところを見ると瞬間接着剤系かセメダインスーパーX系でしょうか。

nissan9 ヘッドカバーとアルミ板の文字をリン酸処理し、元々あった跡に合わせて文字の上下を確認します。

ちなみに後からリン酸処理を行うと接着剤の際が剥がれて浮いてしまいますので先に行っておく必要があります(リン酸が侵すのはこの場合塗膜では無く金属の方です)。

nissan10 凸文字の接着はいつもの3Mオフホワイトで行います。ビスフェノールA型の構造用エポキシ接着剤ですね。性能についてはこちらのオフィシャルサイトで紹介しておりまして、ちなみにこれなら溶剤に浸け置きしても剥がれたりしません。むしろ一旦取り付けると外す方が大変で、もしどうしても剥がさなければならない場合は場合はアセチレンかプロパンバーナーなどを使って高温にして外します。炭化させるような感じでしょうか。

nissan11 混合した接着剤に直接接着面を押し付け、ピンセットで摘まんで所定の位置に貼り付けます。

nissan12 オフホワイトの良いところは可使時間が60分と長い事で、今回のように微妙な位置決めが必要でも落ち着いて作業が出来るので助かります。ただ熱を入れないと中々固まらないのでその点でDIYでは使い難いかも知れません。冬場だと次の日になってもベタベタです。

nissan13 その後60℃~120℃くらいの熱を掛けて硬化させます。今回はこの後の処理があったので120℃で20分としました(低温でゆっくり熱を掛けていると固くなり過ぎてしまいますので)。

nissan14 接着剤を塗り過ぎて食み出た個所があるので、そこは正面からカッターを入れピックツールで搔き出します。熱が冷めて時間が経つとカッターの刃が入らなくなってしまいますので熱いうちに全部除去しておこうという作戦です(一度大変な思いをしました…)。

nissan15と言う事で剥がれた凸文字は無事元に戻りました。

オーナー様が購入された先の説明からすると、元々使われていた接着剤は「特殊」な物との事でしたが、出来ればどう特殊な物なのかの説明もされる方が宜しいかと存じます(むしろ塗装してから剥がれたら大変でした・・・)。ちなみにオフホワイトは特殊な接着剤でもなく誰でも普通に入手可能です。是非お勧めです。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

アルミ製ECUボックス 結晶塗装承ってます

ecubox先日到着しておりましたアルミ製のECUボックスです。エンジンルーム内に装着する物で、中にコンピューターを入れる箱ですね。ワンオフ制作物でしょうか・・・。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ecubox1 ご依頼内容は「結晶塗装の赤」で、底面は見えないので特にマスキング&塗装はせず、また上の画像の前面にECUが装着される形となりますのでこちらはマスキングをして塗料が付かないようにします。

ecubox2下地処理としてはリン酸処理を行いますが、使われているアルミ板の表面にはアルマイト処理が施されているようですので、最初にスコッチまたはペーパーで足付け処理もしておきます。

ちなみに溶接部分はアルマイト被膜が焼けてしまっていますが、実はこの部分の方が塗装の密着性は良好で、このまま塗装をした場合アルマイト被膜が綺麗に残っている個所は後々簡単に剥がれてしまいますが、溶接されて高温になった部分の塗膜は長持ちしたりします。

アルマイト被膜が出来ている個所はアルミ素地の表面にある微細な気孔を塞いで腐食しないようにされていますが、高温を帯びた個所は気孔が多数出来ているのでこの後に塗る塗料(プライマー)がしっかり食いつくのだと思います。勿論腐食はし易い状態なので、再アルマイト処理を行うか、或いは今回のように塗装をするかですね。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

Robi Robot

robi ディアゴスティーニ社のパーツ付き組み立てマガジン週刊「ロビ」のパーツ一式です。1セット分丸々と、さらに2セット入っている物もあります。

素材は着色されたABS樹脂で、オーナー様的に製品の出来具合がどうにも気に入らないようで、ご自身でパーティングライン(成型時の継ぎ目)などを削って処理されていました。

robi1まず最初のご依頼はこちらの「マフラー」となる部分で、当店で行う塗装にどれくらいの強度があるのかを確認されました。

小さいロビは各パーツの部位が判り易い様にと一緒にお借りしました。

robi2 色については後々の補修を考え一から作るのではなく、既存の色見本帳から近似色を選んで使います。配合データさえあれば見本など無くても全く同じ色が作れるからです。

robi3 こちらは足の裏のパーツです。

robi4 白い製品は特にパーツ毎の色ぶれが激しく、組み立てた時の色違いがとても気になるとの事です。

robi5 指定された箇所のねじ穴は全てマスキングをしますが、これの方法としては同じ径のボルトを大量にご用意頂く事で対応しました。

robi8 足付け処理をし、よく脱脂処理をしたら台に固定していよいよ本塗開始です。

robi9 裏側も同時に塗るのでストレスなく塗れるようにマスキング~固定してあります。

robi10 プラスチックプライマーを塗布したらベースコートの水色を塗布し、最後に艶消し専用クリアーを塗って本塗り完了です。

robi11 塗り終わったらそのまま自然乾燥をさせ艶が消えるのを待ちます。

robi12 十分に艶が消えて落ち着いたら60℃40分程の熱を掛けて完全硬化させます。

robi13 今回はオーナー様より「クリアーは2液性アクリルポリウレタンで」とのご指定も受けていました。その通り、当店の塗料はそちらを採用しています。

robi16まず一旦こちらをお納めして、その後塗装の耐久テストを経てこの後のご依頼へと続きます。

robi17 耐久テストの結果はOKだったようで、その後これらの茶色系パーツのご依頼となりました。

robi18 こちらのパーツには製造時の粗が残っていたので、水研ぎをして素地を調整します。

robi19 その後全体を足付け処理し、下地を均します。

robi20 中にはネジを使って固定出来ない部品もある為、そういった物は割り箸の先端を削って穴に通し、切れ込みを入れてクサビを打ち込むようにして固定しています。良い仕上がりの為には逆さまにしても強いエアーで吹いてもビクともしないしっかりとした固定が必要です。

robi21 基本的にはどの部品も裏表360度全ての塗装が必要で、さらに単に塗るだけではなく仕上がりも重視しなければならなく、固定方法にはとても気を遣います。

robi22 そしてようやくセッティング完了です。

robi23 これら表面に細かい模様が刻まれているパーツは、クリアーを塗り過ぎて模様が埋まらないように注意します。

robi24 プラスチックプライマーを塗布し、ベースコートを塗ったら艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。

robi25 十分に艶が消えて落ち着くまで自然乾燥させ、その後60℃40分の熱を掛けて完全硬化させます。

robi26 細かい模様も埋まらず綺麗に仕上がりました。

robi27 ちなみに見た目は艶消しでも塗料自体は艶々のクリアーと同じで、耐久性も同等となります。

robi28 そして完成です。

robi29 こちらは足の裏の部品です。「どうせ塗っても歩いたら傷が付いてしまうのでは」と思うかも知れませんが、オーナー様にとってはそういう事は問題では無いようです。とにかく純正よりもクオリティを高く、それでいて純正の通りにしたいという確固たる理想があるのだと思います。

robi30 こちらは耳の部分ですね。

robi31 先に紹介した水色のパーツとこちらの茶色のパーツは2セット分となっています。

robi32後で傷をタッチアップ出来るようにと塗料も小分けしてボトルに詰めました。

robi33 そしてその後にご依頼頂いた黒系パーツです。

robi35 部品の着色に使われている染料が隣り合う白いパーツに色を滲ませてしまう問題があるようで、今回の塗装ではそれを防ぐ役割も担うと思います。

robi36 各パーツは細かくご指示を承っています。

robi37 こちらはサーボモーターのギアが差し込まれる箇所がある為、そういった部分には塗料が付かないようにマスキングを行います。

robi38 各パーツは作業内容が判るように固定具にシールを貼って色分けをしています。

robi39 これらのパーツも裏表全面を一度に塗れるようにしてあります。

robi40 水色→白に続いて今回が3度目のご依頼となります。

robi41 一度に纏めて行うと数十万円となってしまう為、何回かに分けてご依頼を頂きました。

robi42 ネジ山が細かいのでそういった箇所には塗料が付かないようマスキング用に用意したボルトを差し込んでおきます。

robi44 パーツは#800~#1300で全て足付け処理を施されています。

robi45 プラスチックプライマーを塗り、ベースコートの黒を塗ったら艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。

robi46 艶消しクリアーは艶ありと同じく主剤:硬化剤=2:1のタイプで、耐UV効果・耐擦り傷性・耐薬品性などに優れたクリアーです。自動車の外装パーツに塗られているそれと同じ物と考えて頂ければ判り易いかと思います。

robi47 樹脂素地剥き出しの状態に比べて見た目もシットリと落ち着いた仕上がりになっています。

robi49 こちらもギアー取り付け部には塗料が付かないようマスキングしてあります。

robi40 その後熱を入れ、数日寝かした後に完成となります。

robi41 殆どの部品が裏表共に塗装されています。装着されれば見えない箇所でも、オーナー様が分解~作業する時に見える箇所は表面と同様に仕上げてあります。

robi42 robi44 robi45  robi47

robi34 そして遂に最後の白系パーツです。

robi これらも一つずつペーパーを掛けて足付け処理を施し、細部までしっかりと脱脂処理を行っておきます。

robi1 各部品にはそれぞれの仕様があって、判り易いように記号を付けて頂きました。

robi2 やはり裏表共にストレス無く塗れるよう固定には気を遣っています。

robi3 黒系パーツと同じくギアーが刺さる箇所にはマスキングを行います。

robi4 ようやくセッティングが完了しました。

robi5 ボルト穴はとても小さくネジ山も細かいので塗料が付かないように注意します。

robi6 台にセットし、最終脱脂処理を行います。

robi7 まずはプラスチックプライマーを二回に分けて塗布し、続けてベースコートの白を塗ります。

robi9 ABS樹脂は塗料中の溶剤によって侵されて表面に細かい模様などが出る場合もあります。

今回もいくつか見受けられましたが、その後の艶消しクリアーで埋まる程度なので問題はありません。

robi10 最後に艶消しクリアーを塗って本塗り官僚です。

robi11 白系のパーツは特にパーツ事の色ブレが激しかったようですが、塗装なら一色で全てを塗れるのでその点は非常に安定していると思われます。

robi12 艶消し仕上げは艶ありと違ってゴミが付いたら磨き処理は出来ないので神経を使います。

robi13 一つのご依頼でここまでの数を塗ったのは今回のRobiが初めてだったと思います。

robi14 こういった裏側もしっかり塗っていて、やはりネジ穴が塗料で埋まらないようにマスキングしています。

robi16 その後熱を入れて塗膜を完全硬化させ遂に完成となります。

robi17 robi18 robi19 robi20 robi21 robi23 robi22 robiその後オーナー様より組み付け完成後の報告と画像も頂き、今回の塗装にご満足いただけたようで本当に何よりでした。

robi32-1ちなみにその後は自身もロビが好きになってしまい(笑)、ミニチュアですが3体入手して色々遊んでいます。機会があったら艶消しクリアーだけでも塗ろうと思っていましたが、自分の事なのでうっかり忘れていました…。