BMW M Power engine cover ///M color②

bmw217に続きます。

サフェーサーが完全硬化したら全体にガイドコートを行い、小さいアクリル板にペーパーを貼ってアルミ素地のザラザラとした梨地を平滑に研ぎ出します。

最初は#320で始め、最終は#800で均します。

bmw218 凸部を#120→#180→#240まで面研しておきます。

bmw228 まず下塗りとして適当な白で下塗りとしました。クリアーも塗り、一旦ここで熱を掛けて完全硬化させます。

bmw250 さらに数日寝かしました。

bmw251 そしていよいよ本塗り準備開始です。

bmw252 凸部を再び面研します。

bmw253 下塗りとした白を足付け処理します。この時点では下地のラインは出ているので、特にコシの強いペーパーは使わず、布状の足付け処理用副資材やナイロンブラシ、ウォッシュコンパウンドなどを使います。

bmw254その後さらに数日寝かしました。

bmw267各部をマスキングします。

bmw258まずはベースカラーのALPINE WHITEⅢを塗布します。

bmw259bmw260最初の状態を確認しながらマスキングのラインを決めていきます。

bmw265それぞれ配合データから作製した色を用意します。尚一部の色はブレが強かったので少し修正しています。

bmw261凸凹した箇所に真っすぐのラインを引くのは結構難儀です。

bmw262色を塗る順番としては、隠ぺい力の弱い方から強い方へと塗り重ねていきます。

bmw263しっかりマスキングをしたつもりでも若干浮いてしまう箇所がありますので、そういった箇所を修正していきます。

bmw264こういった塗装はフリーハンドで絵を描くような塗装と違い、極力人間の手で行ったような痕跡を残さないよう、機械的な仕上がりを目指します。

bmw266これでベースコートの塗装が完了です。

bmw295 周りをマスキングし、最後の凸部面研を行います。最終は#800です。

bmw296金属を研いだ場合、酸化した黒い粉がベースコートの白に付着して取れなくなってしまう事もあるので、そういった箇所は再びベースコートを塗り直します。凸部はさらに面研します。

bmw278エアーブローとタッククロスを使って最終チェックを行い、一部のマスキングを貼り直します。

bmw279今回は面研して露出したアルミ素地にもクリアーを塗るので、その箇所には密着剤を塗っておきます。

bmw282クリアーを塗って本塗り完了です。

bmw283ラインが曲がって見えるのは形状自体が平滑では無い部分で、真上から垂直に見ると全てのラインは真っすぐ見えるようになっています。

bmw285bmw284凸部は塗装後にさらに削り出してアルミ素地を露出させる方法もありますが、今回は腐食の発生を遅らせる為に一緒にクリアーを塗っています。

bmw288艶が出ると判り易いのですが、凸文字の周りはフライス加工で一段溝が深く彫られています。

わざとなのかは分かりませんが、これも各工程で少々厄介でした。

bmw300その後熱を掛けて塗膜を完全硬化させ完成となります。

bmw301今回は一度に極端に膜厚を付ける事は避けている為、最初の状態にあったようなクラックが発生することも無いと思います。

bmw302これをまさか人の手で行ったとは判らないような仕上がりを目指しました(基本的にはどのご依頼もそう考えて行っています)。

bmw315出来上がったこちら製品は仲介人の方を経て海外に居るオーナー様に届けられまして、仕上がりに感動して頂けたようで直接電話でお礼のご連絡も頂きました(ただやはり言語の違いがありますので、片言ながら日本語が出来る友人の方を介してと言う形でした)。

bmw313後になって支払い方法をどうすれば!と思ったのですが、そちらも仲介人の方から日本円でお振込み頂きました。

bmw314ちなみに結晶塗装については時々海外の方からお問合せがあるのですが(特にUAEが多いです)、やはりその場合も日本国内に在住の日本語が出来る仲介人の方が要る場合に限らせて頂いております。

サージタンクに続きます。

BMW M Power intake manifold ///M color③

BMW M Power engine cover & intake manifold ///M color①

BMW M Power engine cover & intake manifold ///M color①

bmw131 日本に在住する外国人の方からのご依頼は何度かありましたが、海外からのご依頼は今回の案件が初めてでした。

bmw132 ご依頼内容はこちらのBMW E30 M3 EVO2のヘッドカバーとサージタンクを、現状と同じくMカラーでの塗装となります。

bmw133 パッと見は綺麗なのですが、至る所に下地からのクラックが生じています。

bmw135こうなると上から塗り重ねても意味が無いので、一旦全部剥離して下地からやり直す必要があります。

bmw134 白い塗装は黄変も発生しています。

bmw136サージタンクの方は小傷はありますが塗膜自体は生きているので剥離はせず進行しました。

bmw165ただし既存の塗膜の肌はとても悪いので、下地処理は全体に及びます。

bmw154 塗装を剥がす前に各部を数値としてデータ化しておきます。塗装を剥がしてしまってから見本となる物が無いとなったら後の祭りですからね。

bmw153

bmw176bmw164またネットで色々調べてみるとMカラーにはそれぞれ色名・カラーコードが存在し、当店で使っているSTANDOXのサイトで調べてみたら配合データが存在する事も判りました。これでオフィシャルの色を作製する事が可能となりました。

bmw162 同じくサージタンクの方も各部を計測して数値データとして残しておきます。

bmw163 データにさえ残しておけば、今後何もない所からでも同じような塗装が可能となりますし、また部品が違っても応用は効くと思います。

bmw170 各部のデータ化が終わったらいよいよ本作業開始です。

bmw171サージタンクの凸文字はクリアーの下で菌糸状の腐食が出ていましたが、それらも削り落としておきました。

bmw173bmw172 既存の肌が悪いので、サイズまで砥ぎ付けて平滑にしておきます。

bmw177 ヘッドカバーは旧塗膜を全て剥がすので、廃シンナーを貯めた溶剤槽に数日浸け置きして塗膜を柔らかくしておきます。

bmw187 その後ワイヤーブラシやスクレーパーを使って塗膜を完全に除去します。

bmw188 その後アルミ素地表面の化成処理としてリン酸処理を行っておきます。

bmw189 旧塗膜を剥がして出て来たアルミ素地は表面が凸凹とした梨地で、これを平滑な下地に仕上げなけれなりません。

bmw186 プラグホール周りは何度もマスキングするのが面倒なのでマスク型を作る事にしました。

bmw190 作製したベクトルデータからレーザー加工機を使って6mmのMDF板をカットします。

bmw191 こんな感じでマスク型の完成です。これで何度も貼ったり剥がしたりする必要が無くなりました。

bmw205 サージタンクは旧塗膜は剥がさず、小傷を研磨して平滑にしておきます。bmw206 裏側も塗るので簡易的な台も作製しました。

bmw208 まずはプライマーを塗布します。

bmw209 続けて2液ウレタンサフェーサーをたっぷり塗り込みます。

bmw210 サフェは裏側までしっかり塗り込みます。車体に装着されれば裏側は見えませんが、この状態でお渡しする以上見えない裏側もしっかりと仕上げる必要があります。

bmw202 ヘッドカバーもマスキング完了です。

bmw203 通常周りのボルト穴も一緒に塗りますが、今回は最初の状態でそこが塗られていなかったのでそれに倣います。

bmw204 このザラザラな梨地を下地の段階で平滑に仕上げなければなりませんので、サフェ―サーはかなり充填する必要があります。

bmw207 まずはプライマーを塗布し、

bmw211 続けてサフェーサーを塗布します。

bmw212 一度に厚塗りすると問題を発生するので、コート毎に十分なフラッシュオフタイム(乾燥時間)を設けて幾層にも塗り重ねていきます。

bmw213マスク型のお陰でプラグホール周りのマスキングも楽に行えました。マスク型はこの後の本塗にも使うので、トータルでかなりの時間短縮になったと思います。

本塗り編に続きます。

BMW M Power engine cover ///M color②

プレオ内装パーツ 下準備

preo 大変お待たせしました!プレオのルームミラーとダミーシガーソケットは作業着手しておりますのでご安心下さいませ。

尚鏡については取り外すと破損の恐れがある為付けたままでの作業となっています。鏡さえ外れれば角度調整のレバーやステーも外せるのですが、隙間からヘラを差し込んでミラーが割れてしまうと代替品が無いので、今回は全てマスキングでの対応としております。

preo1 素地はザラザラとした梨地で、これらの凸文字も一緒に削り落とします。

preo2 ルームミラーの素材はPP(ポリプロプレン) なので切削性は非常に悪く、完全には研ぎきれませんが概ね下地処理はこんな感じです。研磨した面は綺麗に見えますが実際はかなり毛羽立っています。

preo3 ダミーシガーソケットの方は製造時のパーティングライン(合わせ目)の段差が目立っていたのでそれを削り落として形を整えています。

preo4 まずはプラスチックプライマーを塗布します。

preo5続けてサフェーサーを、今回は梨地の凸凹が強いので10コート程塗りました。角度調整部のレバーのマスキングと本体との隙間はサフェーサーで埋まってしまう程ですが、これくらい塗り込まないと梨地は埋めきれませんでした。現状はサフェーサー自体の肌でかなり荒れていますが、この後熱を掛けて完全硬化後、全体を研いで形を整えます。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スズキブルバード フロントカウル塗装 完成

boule8 大変お待たせしました!SUZUKI BOULEVARDのフロントカウルパネル塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

bluebird元々はキャンディーレッドの新品塗装済み品でした。ただし新品時の塗装は3コートでは無く2コートキャンディーカラーだった為、色ニジミを懸念して一応ニジミ止めシーラーと下塗りを行ってからの本塗りとしています。

boule9 今回塗装した色はSUZUKI純正色の「GL. SPARKLE BLACK」(カラーコード:YVB)で、画像だと黒にしか見えませんがグリーンパールとホワイトパールが入っています。

boule10参考までに、今回のようなパールやメタリックカラーは「2コートパール」「2コートメタリック」といった塗装で、これは「ベースコート+クリアー」 といった塗膜構造になっています。

boule11 ソリッドカラー(パールもメタリックも入っていない色)の場合はクリアーを塗らない「1コートソリッド」(STANDOXの場合はVOC 2Kエナメル)と言った塗装方法も可能で、これはクリアー樹脂に直接顔料(色)が入ったような塗料なのでベースコートを塗る必要はありません。今回下塗りに使ったグレーがそうですね。白と黒を混ぜ、それに硬化剤を50%入れて塗っています。

boule12当店で行うキャンディーカラーは「メタリックベースコート+キャンディーカラーベースコート+クリアー」といった3コート塗装が基本となりますが、今回の純正塗装は「メタリックベースコート+キャンディークリアー」といった2コート塗装になっていました。

2コートキャンディー塗装はコストが抑えられる為に新車であれば結構普通に見られる塗装なのですが、補修塗装では3コートにして塗るのが普通ですよね。そう言えばPRO_Fitの最初の工場は目の前がGT-R屋さんだったのでよくベイサイドブルー(日産純正のキャンディーブルーです)を塗らせて頂きました。しかもドライカーボン製のフロントバンパーをブロック塗装で・・・(色々大変です)。

boule13と言う訳で、今回はニジミのチェックもしてから上塗りをしていますので、色が赤味寄りになっていたりはしませんからご安心下さいませ。

それでは後程完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

アルミ製ECUボックス結晶塗装 本塗り

box15 こちらもお待たせしました!エンジンルーム内に取り付けるアルミ製ECUボックスも無事本塗り完了しておりますのでご安心下さいませ。

こちらは先ほど紹介したL型ヘッドカバーに合わせるように作業していますので順番的にはかなり早めに進行出来ております。こればかりは運と言うか、他のご依頼主様のご都合に依る所が大きいです。

box16裏側を除く全体をダブルアクションサンダーで研磨し、溶接ビード個所はワイヤーブラシとスコッチ#320で擦り、最後にリン酸で処理しています。

box17 まずはプライマーを塗布します。

box18 裏側に関しては塗らない予定でマスキングもしないつもりだったのですが、溶接ビード部の焼けが気になったのでプライマーだけ塗っておきました。また塗らないプレート裏側も汚くなるのが嫌だったのでマスキングしておきました。塗料が飛ぶだけなら良いのですが、台の上を移動した時に塗料が無造作的にベタベタと着くのが嫌だったんですよね。

box19 そして本塗り完了です。既に熱を掛けて完全硬化させ、結晶塗装目も出た状態です。

box20 薄いパネルは熱伝導率が極端なので、それに注意しつつ熱を掛けています。

box21 結晶目も綺麗に並んでくれたと思います。

良く頂くお問合せとして「購入した物が想像していた結晶塗装と違ったので塗り直して欲しい」といった事があるのですが、再塗装をするには剥離作業が必要で、またこれは車でも言える事なのですが、オーナー様が着いている物とそうでない物は仕事内容は全く変わるので、コスト(費用)も全然違います。

車の塗装も同様で、まだオーナーの着いていない車の塗装と、直接オーナー様からご依頼頂いた車の塗装とでは内容はまるで違います。掛けられるコストが最初から違うのでこれは当然で、仕方が無いのです(私も経験ありますのでその辺の事情は良く判ります)。

それではこちらも完成次第改めて紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!