RALEIGHフレーム 下地処理

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こちらもお待たせしております。輪行した時に傷つけられてしまった自転車フレームRALEIGHの修理ですね。

傷が付いたのはシートポスト部分で、ここ以外にも小傷は多いのですが、フレーム全体に貼ってあるデカールのロゴはデザインが細かく複雑で、これを塗装で再現するのは難しいですからそれらは極力残しての部分的な下地処理&ベースコート(黒)の塗布、そして最後にクリアーを全体にコートするようにします。「修理&リフレッシュ」と言う感じですかね。

ただこれは結構気を遣い時間も多く掛かりますから、実はフレーム全体を塗りなおす「全塗装」よりも費用は高かったりします。イメージとはちょっと違うかも知れませんが、「1ミリの傷を修理する」と「全部剥がして好きな色に塗りなおす」は場合によっては前者の方が大変だったりするのです(当然費用もです・・・)。

私が最初に勤めていた会社(ディーラーセンター)で、自動車の「給油口の蓋を交換」と言う仕事があったのですが、その部品自体は15cm四方の単なる四角い板ですから塗るのには下地処理と合わせても30分も掛からないような仕事です。 が、それはリヤフェンダーのど真ん中に装着される部品ですから周りのリヤフェンダーと色が違ったら凄く目立つ訳で、ただ調色作業に一日掛けても塗装屋の観点からすると「同じ色」にはなりませんから、相当な時間を掛けて調色をしたにも関わらずリヤフェンダー一枚をボカシて塗る事にしました。勿論テールランプやモールなどの付属品は外すので大掛かりな作業です。 そのリヤフェンダーを塗るのには当時で7万円程度頂く事になりますから、給油口の蓋(フェーエルリッド)を含めて合計8万円くらいの請求になっていたりしました。・・・ちょっと有り得ない話ですが、オーナー様が「そこだけ違う色になるのは絶対に嫌だ」と言う事だったので結果的にそうなったのです。まあ塗装屋さんなら誰しもが経験はある事ですよね・・・。 その他にフロントバンパー交換の時に、やはり隣接パネルとの色違いを防止する為に「ボンネット」「右フロントフェンダー」「左フロントフェンダー」の3パネルを塗ったこともあります(総額は30万円オーバーだったかと・・・)。 「色違い」を起こさない為にはそらくらいの作業が必要って事ですかね。

と、何だか本題からズレてしまってすいません。 作業としてはまず傷の付いた部分を削って平滑にします。今回は錆も出ていたので念のためサンドブラスト処理をしておく事にします。周りをマスキングしているのは既存の塗膜に余計な傷を付けない為です。

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そしてサンドブラストキャビネットに入れ、錆が出ていた箇所にメディア(研磨粒子)を当てて一皮剥きます。他の部分も多少露出していますがその方向に向けて当てたりはしませんので御安心下さい。

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そしてこんな感じで錆が出ていた箇所は綺麗に処理されました。周りの塗膜は#120~#180の番手でダブルアクションサンダーで研磨されていますので、この後#240→#320→#400の番手で仕上げてサフェーサーを塗る準備をします。塗膜の辺が変な模様になっているのは「フェザーエッジ」が出ている状態ですので問題ありません。と言うかこうなっていないと駄目ですので。 塗膜の段差は急降下にならないように徐々に緩やかな傾斜になるように削っていかないとラインが出ませんし、それを無理にパテで修正しようとすると「パテ痩せ」と勘違いした「エッジマッピング」(チヂレの一種)を起こしてしまったりします。未だに見かけますかね。

「極力小さな範囲で済ませたい」というのは解かりますがそれを無理にやると大抵は後で問題が起きたりします。1ミリの傷でも小さく済まそうとしても30cm程度まで広がってしまうと言うのはそう言うことです。

まあやり方は人それぞれなんで良いのですが、傷にパテを埋め込んで直そうとしたり、或いは「塗るなら全部剥がさないと駄目」と、通り一辺倒な事しか言えないのはマズイですかね。修理する理由は色々ある訳ですから、色々な方法が出来てそのケースに合った修理方法を提案出来るのが良い形では、と思う次第です。

 

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金属の素地が出ていた箇所にはプライマーを塗って、その後それを覆うようにサフェーサーを塗ります。サフェーサーにも防錆効果はあるのですがプライマー単体のには及ばないですからね。ちょっと面倒ですがこれらはセットで行います。

と言う事で、シートチューブ部は殆どがサフェーサーで覆われまして、この部分はさらに10cm程度をベースカラー(黒)でオーバーコートされます。フチの部分はグラデーションさせるような感じでボカし、最後に全体にクリアーをコートします。

と、ちょっと長くなってすいません。金属素地の処理は一気にやらないと駄目なので紹介する時も長くなってしまうんですよね。

スターバックスタンブラー塗装承りました

スターバックスタンブラー

すっかり紹介が遅れてしまいすいません。そしてこの度のご依頼、誠にありがとう御座います!

ご依頼の色としては、昨年に塗らせて頂いたcannondaleキラーVに採用された「Hな感じのマゼンタ系3コートパール」(笑)をベースに、オーナー様からご指定の「HEARTLAND」なるロゴをワンポイントでホワイトで塗装します。

現状はステンレス素地ですのでこのまま色を塗っても十分には密着しませんから、一旦素地を荒らして(足付け処理)プライマーを塗っての下地処理からとなります。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠にありがとう御座います!

アウディR8 カーボンパネル 磨き作業

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大変お待たせしました!アウディR8のカーボンパネルも遂に完成となります。

画像は磨き作業を終えた状態で、久しぶりに小物塗装屋では無く「自動車塗装屋」的な仕事をしたような気がします。やる事はいつもと同じではあるのですがどうも身構えてしまうと言うか変なプレッシャー(笑)があるのだと思います。

画像の床に置いてあるのはポリッシャーやらコンパウンドなどの類ですね。バケツは¥100ショップで購入した物に自作で作った「DUPONT」のシールを貼った偽物(苦笑)なのですが多分5年以上使っていると思います。ちなみにこれの「STANDOX」バージョンもあって、そちらは「下地作業用」のバケツでこっちが「磨き用」として識別出来るようになっています。下地と磨きではそれぞれのバケツを別けないと研磨粒子が混入して「タオルで拭いたら余計に傷が付いた!」という事態になってしまうのです(実はこれに気付くまでに数年掛かりました・・・)。

磨きの時は比較的低い位置に設置してある水銀灯を照らしているのでカーボン感が凄い出てますよね。この姿に無事戻せて本当に、本当に良かったです(今回のご依頼は上に塗られていた白い塗装を全部剥がしてのやり直しなのです)。上手く行かなかったらどうしていたのかと思うと恐ろしいです(怖くて部品の値段については気にしないようにしていました・・・)。

と言う事で、完成画像と完成のお知らせについては後日改めてご案内致しますね。とりあえず作業は完了しておりますのでどうぞ御安心下さいませ。

なんだかんだ一ヶ月以上は掛かってしまいました。本当にお待たせしました!