BMWカーボン製パニアケース蓋 下準備

bmw41 先日塗っておいた軽量エポキシのZ-1パテは、常温で一日置いてある程度固め、その後60℃40分(実際は100℃くらい)の熱を掛けて完全硬化させました。

bmw42  少し前に、NBロードスターのヘッドカバーでこのパテを試した時にはとても削り易いと感じたのですが、実はそれは塗ってから熱を掛けて直ぐの作業だったのでそうだったみたいです。通常使う#120では中々削れないので(と言うかカーボン本体の方がみるみる削れていってしまって・・・)、#80を使っての粗研ぎとなりました。その後クッションパッドを着けた#120でペーパー目を均しています。

bmw43 序にエッジの立ったフチも削っておきます。FRP製品は型から抜いた後に余分をカットするのですが、大抵は切ったそのままなのでこれがちょっと不自然なんですよね。

bmw44ちょっと判り難いのですが、外側と内側の角を面取りしてあります。純正部品などの金属・プラスチック製品はこういったフチが滑らかなので同じ様にしておくと後で自然に見えるのです。

standox4 そして今回使うのはこちらのSTANDOXのエポキシプライマーサフェーサーです。久しぶりに使うのでちょっと調べてみたらどうやら廃盤になっていたようで、現在は3:1の物にモデルチェンジしていました。まあどちらにしても使っている人は少ないと思いますが・・・。

順番的にはサフェでは無く「パテ」になるのですが、今回の作業ではちょっと下地が信用出来なかった事もあって、ポリエステル(パテ)に移る前にもう1工程でエポキシを使っておきたかったのです。

bmw45エポキシ樹脂の特徴としては分子間の結合がとても強固と言うことで、その性能はポリエステル(パテ)やウレタンの比ではありません。ただ耐侯性が良く無いので(カーボン製品がボロボロになるのはそのせいです)、使うのはもっぱらこういった下地に限られます。

元々この塗料を使うきっかけになったのは、古いベンツの新車塗膜で下地からクラックやらチョーキングが発生していた物に、本来なら問題のある塗膜は全部剥がさなければいけないところを、(お金が出ないので)仕方無しにこれで封じ込める!みたいな効果を狙っていて、万が一下地で何か問題が起きてもこの層があれば抑えられるんじゃ・・・といった事を期待しています。まあ無駄に終わるかも知れませんが(苦)。

ちなみに本来はこのままウェットオンウェットでスプレーパテを塗り重ねる予定だったのですが、さすがにここまでタップリ塗ってしまうと異種塗料間での硬化速度や伸縮率の違いでクラックやチヂレが生じる恐れがあるのでそれは止めて、一旦熱を掛けて固める事にしました。本当はそれが出来れば「強制乾燥→研磨→脱脂」の工程が1度で済むので早かったのですが、さすがに色々とやり過ぎだろうという事で(笑)。

と言う事で、また作業進行しましたら紹介させて頂きます。どうぞ今しばらくお待ち下さいませ!

マイクスタンド塗装 完成

mic24 大変お待たせしました!お預かりしておりましたマイクスタンドの塗装、本日完成となります。

mic25色は前回ご依頼頂いたゼンハイザーのマイクと同色で、ダイハツムーブの純正色「ディープブルークリスタルマイカ」(カラーコード:B79)、クリアーはクリスタルクリアーとなっています。

塗装前の画像も紹介しますね。

mic4一般的なマイクスタンドは大体こんな感じのつや消し黒に塗装されていると思います。

mic26マイクよりも面積が大きい分目立つかも知れませんね。

mic27スタンドのポール部分は組み付けた状態で、後は下の土台部分に付ければそのまま使えるようにしてあります。ストッパー部分の部品には潤滑剤を塗って出し入れをスムーズにして傷がつき難いようにしてありますが、それでもスライドさせれば傷は増えてしまうと思いますので、本番以外は極力動かさないようにされる事をお勧め致します。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度も当店をご利用頂き有難う御座いました!

Electric Piano

piano (1 - 1) 6年前くらいにご依頼を頂いたエレクトリックピアノです。後で知ったのですが著名なプロの方からのご依頼で、当初は他の塗装屋さんにお願いしたらしいのですが素材がプラスチックとの事で断られてしまったそうです。改めて調べてみたらどうやら”Wurlitzer Electric Piano”なる製品のようですね。

piano7 樹脂の素材は判らないのですが(多分それが断られた理由だったような気が)、プラスチックと言うよりビニールっぽい素材な感じで、現状では画像のように水を弾いてしまうような状態ですから、まずはこれを親水性にして塗料が密着し易い下地にします。塗装の為の素地調整はまさにそこですよね。

piano (1 - 1)-2下地処理は特別な事をする訳では無く、自動車のプラスチックパーツと同様、「ウォッシュコンパウンド+スコッチ」で足付け処理を行います。ウォッシュコンパウンドの中に入った細かい研磨粒子と洗浄成分(カネヨみたいな感じです)で、製品の表面を削らず、またシボ模様の奥まで足付け処理が出来ます。下地処理用の副資材は色々出ていますが、どれが良いと言う訳では無く、どれがどの作業に適しているか、みたいな感じですかね。

piano6 その後水を流すとこんな感じで表面が親水性になります。最近普及した「火炎処理」の原理もこれと同じ様な感じで、これでならば塗料もよく密着してくれると言う算段です。

piano4 周りのアルミ製飾り枠は接着剤で固定されているのでこちらは外さずにマスキングで対応します。

piano (1 - 1)-3 色に関してはオーナー様がご用意された写真に近い色を見本から選び、さらにそれに合わせて色を作ります。

piano (1 - 1)-4 艶具合に関しては、元のビニール樹脂っぽさを再現すると言う事で「半艶」を選んで頂きました。

先ほど作った青のベースコートを塗布し、半艶専用クリアーを塗って本塗り完了です。ここから徐々に艶が消えていきます。

piano (1 - 1)-6熱を掛けて完全硬化後、事前に外しておいたフックの留め具をリベットで取り付けて完成です。シボ模様も綺麗に残りました。

piano (1 - 1)-5実際にステージでも使うとか、一応これで食べているとか、ご本人からはその程度の事しか聞いていなかったのですが、実は日本人なら誰もが知っているような曲を作っている方のようです。

今回の案件とは違いますが、実際に演奏された画像がありますのでちょっと紹介させて頂きますね。

色は違いますが多分これと同じ製品だと思います。エレクトリックピアノは機械的な打弦メカニズムを持つ為、電子ピアノやシンセサイザー等とは全く別の楽器なのだそうです。

piano (1 - 1)-7元々古かった物を塗装する場合は、大抵は最後まで捨てられたりする事は無いと思うので、いつかどこかで実物を見れる日が来ればと思います。