NCロードスター 樹脂製ヘッドカバー 下準備

 先日サンドブラストにて足付け処理を行っておいたNCロードスター用の純正樹脂製ヘッドカバーです。

通常のアルミ製ヘッドカバーであれば、結晶塗装に凸部を研磨すれば素地のアルミが露出して光りますが、今回のような樹脂製品の場合は削っても黒にしかならない為、今回はこの凸文字をシルバーに塗る必要があります。

画像は凸文字部を#800で研いでシャープにしているところで、濡れているのは水です。

 凸文字部をシルバーにする場合は最初にそこを塗り、マスキングをした上でヘッドカバー本体に結晶塗装を行います。簡単そうですがこれは相当面倒な作業で、多分普通はしません…。

ただ幸いにしてこちらは以前ご依頼を頂いた時にマスキングシート用のデータを作成していた為、今回はそれが利用出来ます。

 久しぶりに使うので一応試し貼りをしてみました。マスキング用のシート(シール)は凸文字より一回り太いサイズとなっていて、塗装時にそこが「庇」の役目となって見切り部の仕上りを良くするようになっています。

ちなみに全然関係ありませんが、以前この凸文字データを使って金属製の凸文字を鋳造製作していたりします。→NDロードスター用「DOHC 16-VALVE」作製

 まずは凸文字周りにプラスチックプライマーを塗布し、

 続けてシルバーを塗ります。

こういった場合に使うシルバーはメタリック粒子の細かい物を使うのがセオリーで(金属っぽく見せる為)、今回は最初にSTANDOX原色のMIX818を使いましたが、さらに金属感のあるSPFシルバー(STANDOX原色JLM906)を最後に薄く塗りました。画像だと単なるシルバーですが、今まで使っていたシルバー(STANDOX原色MIX595)にくらべ遥かに金属感は高いです(スタンドックスユーザーにしか判らない内容ですいません)。

尚、ベースコートには硬化剤を数%添加してあって(通常は入れません)、先ほど用意したマスキングシートは本塗り直前に貼って塗装後に直ぐ剥がす、と言う方法で行います。

来週中には本塗りが出来る予定ですのでどうぞもう少々お待ちくださいませ!

ヴィヴィオヘッドカバー 結晶塗装 本塗り

 先日サンドブラスト処理を行っていたスバルヴィヴィオのヘッドカバーです。

フィンの部分は塗装後に研磨して光らせますが、今回はこれが研ぎ難い事、また腐食も出ていたので先に#120で粗研ぎをしておく事にしました。

 台にセットし、本塗り開始です。

 まずは全体にプライマーを塗ってしまい、

 結晶塗装を塗りたく無い部分には普通の黒(STANDOXのベースコート)を塗り、さらに乾燥させてマスキングを行います。

 そして結晶塗装の本塗りを行い、140℃程の熱で焼き付けます。ちなみに今回は145℃で30分くらいでした。

結晶塗装はメラミン系の熱硬化型樹脂の為、通常の2液ウレタンを硬化させる際の60℃~80℃程度の熱ではいくら経っても固まりません。1液性の熱硬化型樹脂はある一定の熱に達しないと架橋反応が起きないのです。

見た目的には固まっていてもそれは「硬化」では無く「乾燥」といった感じで、2液ウレタン塗料で例えると硬化剤を入れ忘れたクリアーのような状態でしょうか。極端に言うと、ゼリーを作るのにゼラチンを入れ忘れたといった状態です。待っていればいつかは固形になりますが、それでは本来の強度には達していない、という状態です。まあウレタンクリアーに硬化剤を入れ忘れたら色々な意味でもう駄目な訳ですが…(最初に勤めていたディーラーで、比較的お年を召した塗装屋さんがこれを良くやっていてまさに地獄のような光景でした)。

塗装屋さんが良く言う「焼く」と言うのは熱を入れる事なので、これのせいで普通の2液ウレタン塗装も「焼き付け塗装」と勘違いをされる事が多いのですが、2液ウレタンは主剤と硬化剤が反応して固まるので、実際熱を入れなくても固まりはします(仕事では当然100%熱を掛けますが)。

対して熱硬化型の塗料は1液で硬化するにも関わらず、容器の中にそのまま保存されていても勝手に固まる事はありません。スプレーガンに塗料を入れたままうっかり忘れて次の日になってもガンが使い物にならなくなった!と言う事は無いのです。

これもやはり以前の職場での出来事ですが、使い終わったスプレーガン(しかもSATA)をうっかり洗い忘れてしまい、ガンの中に残ったクリアーがそのまま固まってしまった…と言う光景を見た事があります。カップの中だけならまだしも、この場合スプレーガンの中(塗料が通る通路)全てでクリアーが固まる為、ガンクリーナー(なる専用の溶剤)でも取れず、結局オーバーホールに3万円くらい掛かっていました。ガン自体が7万円くらいするので、それでも買うよりは安い訳ですが、その塗装屋さんは外注さんだったので恐らくは実費に…と言う訳です。

と、すいません話が逸れまして。

この後数日寝かした後、凸部を面研して光らせ、最期に筆でクリアーを塗ってさらに硬化させたら完成となります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!