TE27レビンフェンダーミラー 下準備

先日お預かりしておりましたトヨタTE27レビンの純正フェンダーミラーです。

RM社の色見本帳から似たようなガンメタを選び、それに測色機を当ててSTANDOXの配合データを入手して、色を作成しました。

ただ実際に作ってみるとやはり色は違っていて(そもそも数値上でも90%だったので)、

それを調整し、フェンダーミラーの色に近づけました。

具体的には黄色味と透かしの白味(と濁り)が足りなかったので、それらの色を混ぜて調整しています。

色が出来たので、本体の作業を行います。

表面の傷は#180のダブルアクションサンダーで削り落し、その後パーティングラインの段差も平滑に均します。

最後は#240の手研ぎと、フチ等を#320で足付け処理しておきます。

台にセットし、よく脱脂清掃&エアーブローを行います。

プラスチックプライマーを塗布します。

続けてサーフェサーを塗布します。

サフェはしっかりウェットに塗り込み、フラッシュオフタイム=コート間の乾燥時間をしっかり設け(5分程)、合計5コート程塗っておきました。

この後は一日以上自然乾燥せさ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スーパーセブン カーボンフェンダー 旧塗膜剥離

先日お預かりしておりましたロータススーパーセブンのプリプレグカーボン(ドライカーボン)のリヤフェンダーです。

当店で塗装する前に塗られていたクリアー層は、カーボン素地に密着しておらず、ストレスが大きく掛かる所から剥がれて来てしまっています。

ただそれのお陰で塗装の剥離は思っていたよりも簡単で、ヘラとエアーブローでバリバリと剥がれていってくれます。

カーボン素地の凸凹を埋める為に恐らく5回分くらいのクリアーが塗られていて、その上に当店で施工した透明なグリーンメタリックが重ねられています。

出てきた素地は全体に艶が出たような状態で、所々ペーパーが当たった後はあるのですが、もしかしたらちゃんと足付け処理がされていないのかも知れません。

表面は少しヌルヌルするようなベタベタするような感じがします。密着剤は最初の数年は問題無いのですが、経年でそれが劣化すると密着力が低下し、何かのきっかけでペリペリと剥がれて来たりします。ただここまで簡単に(そして綺麗に)剥がれるとなると、使われている材料自体に問題があるのかも知れません(恐らくはポリエステル系かと思います)。

と言う訳で、全体に#180~#240のダブルアクションサンダーを当て、角やフチは#240の手研ぎで研磨~足付け処理を行います。

その後裏側を清掃します。

続けて表側もスコッチとピンク石鹸で繊維の隙間の不純物(主に離型剤)を掻き出すように擦り、水を流して弾かない状態になるまでこれを何度も繰り返します。新品だと10回以上行う場合もありますが、今回は3回で大丈夫でした(恐らく剥がれた塗装面の方にくっ付いてくれたのではと)。

最後に新しいスコッチ#320とウォッシュコンパウンドで満遍なく研磨・足付け処理を行います。最初からウォッシュコンパウンドを使わないのはコスト的に勿体ないからですね(これ一つに1Lくらい使ってしまうと思いますので…)。

水で弾く箇所が一つもない事を確認したらよく乾かしておきます。

裏側をマスキングします。

これでクリアー下塗りの準備が完了です。先ほどの塗装を剥がした時の状態に比べると艶が無く、全体がしっかり足付け処理されているのが判ると思います。

私が最初に勤めたディーラーの内製工場では、塗装と板金がそれぞれ判れていて、板金屋さんがパテを塗る際、脱脂作業と言うのをしている事は殆ど見ませんでした。手で擦ってエアーブローをするだけです(そういう時代という事もありました)。

それでもパテは十分密着する訳ですが、10年後、20年後にどうかと言うと、何かのきっかけで剥がれたりする事はあると思います。これは塗装も然りで、単に飾っておくだけなら良いのかも知れませんが、実用するとなるとその辺で差が出て来るのだと思います。まあエアーブローなら1分で済むところを、わざわざ1時間以上かけてやってくれるかどうかは難しいのかも知れませんが・・・。

この後は他のご依頼品でクリアーを塗る際にこちらも一緒に塗るようにして、表面が平滑になるまでそれを繰り返すようにする予定です。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

日産NOTEリヤブレーキカバー塗装承ってます

先日到着しておりました日産ノートe-Power(HE12型)ニスモSのリアブレーキカバーです。こちらのご依頼者様は前日お納めしたマーチリヤアンダースポイラーのオーナー様で、今回は御家族の方のこちらのパーツをご依頼頂きました。この度もご贔屓いただき誠に有難うございます!

状態としては艶消しの黒が塗られていて、

一か所ゴマ粒程の傷が付いていた箇所を爪で擦ってみると、その周りの塗装がペリペリと剥がれ、下から綺麗な金属素地が露出してきました。足付け処理などの素地調整を何もしないまま色が塗られているようです。

と言うのも、こういった塗装は元々そこまでの耐久性は想定されておらず、とにかく出荷するまで錆が出なければOKみたいな感じで、ある意味この辺は仕方ないのかも知れません。

なので一旦溶剤槽に浸けてこれを剥がして、改めてプライマーから塗り直す事とします。

今回塗るのは現状黒に塗られている箇所のみで、裏側やネジ部は塗らず、またホイール当たり面についてはクリアーを塗らずプライマーとベースカラーのみとする予定です。色はニスモレッド(カラーコード:LA10)、クリアーは艶消し仕様で承っております。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

KORGショルダーキーボード 本塗り

先日下塗りを行っておいたKORGショルダーキーボードの外装木製パーツ2点です。シール材としてノンストップフィラー(サーフェサー)を塗り、その上にウェットオンでクリアーを塗ってあります。

まずクリアーの肌を#800で均し、その後布状研磨副資材(アシレックス)で細部まで足付け処理を行います。

が、下塗りをした時にネックと本体を繋ぐネジ穴周りの仕上がりが悪かったので、リューターで研磨し、均しました。

最初の状態です↓ 元々穴の周りがガタガタとしていて汚なかったので、

パテを使って成型、サーフェサーも塗っておきました。

台にセットし、本塗り準備完了です。

画像では台に置いてありますが、裏側を塗る時は柄を掴んで持ち上げた状態で塗ってあります。ビスで固定してあるのでひっくり返しても落ちません。

よく脱脂清掃し、エアーブローを行って埃を飛ばし、

まずはベースコートを塗布します。

色はVW社のdaenischblau=ダナブルー(カラーコード:LH5R)となります。

この状態でも艶消し仕上げとなるのですが、ベースコートだけだと強度は缶スプレーとさほど変わりないので、

最後に艶消しのトップコートクリアーを塗布します。艶ありと同様に2コート行います。

そこから一時間くらいすると艶が消えた状態になります。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。今回は組付け作業があるので少し長めに寝かせる予定です。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルWRX S4 樹脂製インマニ 下準備

先日下塗りを行っておいたスバルWRX S4の樹脂製インテークマニホールドです。その後60℃40分程の熱を2回程掛けて塗膜を硬化させておきました。

このまま二回目の塗装=本塗りを行っても塗料は密着せず、かといって密着剤のような物を安易に使うと後で大変な事になってしまいますので(ペリペリと剥がれてきます)、この上に新たな塗装を行う場合には再び全体を足付け処理する必要があります。

ただしこの形状でペーパー(研磨紙または布状研磨副資材)を使って足付け処理を行うのはかなりの手間と時間が掛かり、またその方法だと細部まで確実に処理出来ない可能性がある為、今回も下塗り前と同様、ウェットブラストを使って足付け処理を行う事とします。

使っているメディア(研磨剤)は重曹で、これにより大気開放でのブラスト作業でも周りに被害は少なく(環境的には全く問題無く)、また塗装面に対してソフトな当たり方での施工が可能となります。

今回は動画を撮影していないのですが、開放型のウェットブラストでの作業は、以下のような感じとなります。

ただし開放状態だと吹き返しがかなり激しいので、作業時は合羽を着こみ、また送気マスクをして挑んでいます。重曹は身体への健康面においても全く問題無いのですが、体中がヌルヌルして嫌なんですよね・・・。

その後はよく水洗いします。

重曹には脱脂の効果もあるので、塗装前の下処理としてはとても良いメリットでもあります。

エアーブローしてよく水気を飛ばしておき、この後十分に乾燥させておきます。被塗面に細かい凸凹が形成され、艶が消えた状態になっているのが判ると思います。

また先に記載したように綺麗に脱脂処理された状態ですので、この後のマスキング作業と保管に注意して、そのまま上塗りが行えるようにしたいと思います。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!