先日足付け処理をしておいたトヨタセリカの1G-GEUエンジンヘッドカバーです。
シルバーに塗装後、一旦クリアーで全体をコートして完全硬化してあるので、シンナーで拭きとっても大丈夫な状態です。
時々こういった凹んだ文字に「塗料を流し込む」といった事をイメージされている方が多いのですが、プラモデル等の模型の塗装と、今回のような実用を前提とした塗装とでは全く違うものなので、そのような事は通常行いません。またプラモデルの墨入れのように簡単に拭き取れる塗料=所謂「エナメル」と呼ばれるような物も使いません。そもそも足付け処理無しで塗料を塗り重ねるという事自体、絶対にやってはいけない事の一つですので…。
なので今回使う塗料も通常のSTANDOXベースコートで、通常自動車補修塗装(板金塗装)でこういった変則的な事は行いませんが、基本的な事はそれと同じ内容となります。
食み出た塗料はシンナーで拭きとるので、余計に膜厚を着けたくはありませんから、使用するガンは口径の小さいエアーブラシ(0.5mm)を使っています。
しっかり乾いたらスポンジパッドにウェスをたるまないように巻き、シンナー(一般的なSTANDOXベースコート用シンナー)を少量垂らして周りに食み出た余分を拭き取ります。
その後#800~#1300で空研ぎして残りの塗膜を削り落とします。
拭き取った跡が少しでも残っていると一体どこからやり直せば良いのかと絶望的になるので、何度もチェックを行います。
また当然ですがそんな簡単に余分を綺麗に拭き取れる訳では無いので、再び塗り足してまた拭き取るという作業を何度も繰り返し、輪郭が綺麗に仕上がるようにします。朝からこれを初めて、終わったのが夕方といった感じでした(私自身ちょっと甘く見ていました・・・!)。
全体をタッククロスとエアーブローでしっかりクリーニングしたら最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!
クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。
オリジナルは半艶に近い仕上がりだったのですが、特に「純正同」に拘っているという事では無いとの事で艶あり仕上げにしています。そもそも純正の塗装はどれだけコストを落とせるかで決めている所はありますからね(私的には見た目より下地=せめてプライマーは塗っておいて欲しいといつも願っています)。
今回の塗装費用は結構な金額になっているのですが、それでも予想していたより倍くらい時間が掛かってしまいました。
しかしながらそれだけに中々良い感じに仕上がっているかと思います。
純正の塗装は当然ですが今回のような行程では無く、恐らくはマスク型のような物を使用してのライン塗装(大量生産)を行っているのだと思います。以下の動画のような方法ですね。
マスク型が金属で出来ているので、汚れたらその都度溶剤で洗う事が出来るので大量生産での塗り分けに有効的な手法ですね。
そう考えると面倒な事をしているとは思いますが、一つ一つマスキングテープを貼って行うよりかは遥かに短時間で出来るので、これでも比較的現実的な手法だとは思っています。
ちなみに見た目は同じような仕上がりでも、単に色を塗るだけ=下地処理(足付け処理)無しで行うと、
経年でこのように塗膜が剥がれてしまったりします。最近はメッキが施されたバイク用ブレンボキャリパーの凹み文字が、半年で剥がれたので何とかして欲しいといったお問合せがとても多いです。ただちゃんとやろうとすると塗る面積に対しての作業時間がとてつも無く大きくなるので、製品として販売する物は仕方ないんでしょうね。
この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。
あとはスチール製のプラグカバーの塗装もあるので、まだもう少し掛かりそうです。
それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!