アルファロメオヘッドカバー 凸文字下処理

 先日、鋳造したAlfaRomeoの凸文字を接着しておいたアルファロメオGT 2.0 JTS のヘッドカバーです。

 今回は結晶塗装では無く「艶有り仕上げ」での塗装となる為、貼り付け時の接着材は極力外に食み出ないようにして作業をしています。

ちなみに結晶塗装であれば、素地の粗は殆ど目立たなくしてくれるので、多少接着剤が食み出ても問題は無く、また食み出た分はカッターの刃やピックツールを使って削り落とす事も可能なので、そんなに気を遣わなくても大丈夫です。

結晶塗装時の凸文字接着については以下の記事が判り易いかと思いますので宜しければご参照下さいませ。

日産L型ヘッドカバー 凸文字貼付け

また艶あり仕上げにする場合、極わずかな隙間でも目立ってしまう為、それらを埋めておく作業も必要です。塗膜には表面張力が働いてしまう為、少しの隙間でも塗料がハジくようになって余計に目立ってしまいます。

この辺については判り易いようイラストを作製してみました(しかし手抜きですいません・・・)。

今回の場合は接着剤を食み出したく無いので、ヘッドカバーとAlfaRomeoの凸文字とでは少し隙間が空いている個所がありますが、このままの状態で塗装をしてしまうと表面張力の働きにより、隙間が残ってしまいます。

無理に埋めようと塗り込んでも隙間は塞がらず、さらに表面張力によってフチに塗料が溜まり、余計に隙間が目立ってしまいます。結晶塗装の時はこの時点で筆を使って誘導してあげたりもするのですが、艶々の塗装は非常にデリケートな為、そんな事は出来ません(後処理が大変です)。

 と言う事で、予めこの隙間にサフェーサー充填して埋めるようにします。

わずかな隙間でもしっかり埋めておくと塗料はスムーズに繋がり、ヘッドカバーと凸文字に一体感が生まれます。髪の毛が入らないくらいの隙間ですが、意外とこの辺が重要だったりします。

 サフェーサーは通常通り2ウレタンで、ただしいつもよりもシンナーを多くしてシャブくし(粘度を低くし)、筆先を隙間に当てて毛細管現象を利用して流し込んであげます。

 凸文字を接着している材料が弱い物だと、隙間に流し込んだシンナーで溶けて剥がれてしまいますが、今回使っているビスフェノールA型のエポキシ接着剤であれば問題はありません。と言うかこうなると剥がす事が無理なので、ここからやり直すとしたらサンダーで削るしか方法はありませんでして・・・。

と言う訳で、このような感じで隙間全てにサフェを行き渡らせました。

 サフェは2液ウレタンなのでこのまま上塗りを行うとチヂレを発生しますから、再び60℃40分程の熱を掛けて硬化させます。

次はグレーもしくは赤系の下色でヘッドカバー全体に下塗りを行い、完全硬化させた後、もう一度足付け処理を行ったらいよいよ本塗りとなります。

凸文字は鋳造後に簡易フライスで表面を削ったままで、この状態ではまだかなりの厚みがありますから、こちらは下塗りが終わった時点である程度の高さまで削っておこうと思います。現状は恐らく4~5ミリ程で、これを3~4ミリにする予定です。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

Alain Mikli

 アランミクリのメガネフレームです。

 既に当店にて紫系のメタリックに塗装された状態ですが、その後使う機会が無かったとの事で新たな色に塗装をご依頼頂きました。尚、こちらのオーナー様からは同じモデルのフレームを合計5本くらいご依頼頂いています。

 このアランミクリのフレームは蝶番の部分が特殊で、どうやっても分解の方法が判らなかった為、今までの塗装は全てマスキングで、フロントとテンプルをそれぞれ別けて本塗りを行っています。

 今回ご依頼を頂いたのがこちらの配色で、

 ブルーはVWのシャドーメタリックを、

 赤はキャンディーレッド、白はVWキャンディーホワイトを使用します。

 塗装した塗膜は問題無いのでそのまま足付け処理のみを行い、

 ペーパーの当て難い鼻当て周りのみサンドブラスト処理を行います。

 金属素地が露出した状態です。

 良く脱脂清掃し、

 プライマーを塗布します。

 足付け処理をし、まずはフロントのみ本塗りを行うようマスキングを行います。

良く脱脂清掃をし、

まずは下色のシルバーを塗布します。

イメージイラストで塗装する範囲を確認しながらブルーメタリックを塗布します。

続けて透過性の赤=キャンディーレッドを塗布します。

そしてクリアーを塗ってまずはフロントの本塗りが完了です。

この後60℃40分ほどの熱を掛けて完全硬化させます。

そして次はテンプルです。

蝶番部分はマスキングし、最初に塗装したキャンディーレッド部分は、次に行う本塗り時に色を見ながら塗れるようにしておきます。

そしてテンプル部の本塗り開始です。まずは白(VWキャンディホワイト)を塗布します。

続けて、イメージイラストを確認しながらブルーメタリックを塗ります。また左右の塗り位置がピッタリ揃うようにしておきます。

そしてシルバーを塗り、

キャンディーレッドを塗布します。

塗り回数でキャンディーレッドの色味を合わせ、さらに左右でグラデーションの位置を揃えたら、最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

最初に塗ったキャンディーレッドとの色味は、違和感無く出来たと思います。

その後60℃40分程の熱を掛け、さらに数日寝かしたら完成となります。

グラデーションの境目は、顔料の粒子感が判らないよう余計なミストを飛ばさないようにして仕上げています。

蝶番周りの仕上がりも、マスキングで塗ったとは判らないように仕上がっているかと思います。このフレームを塗る前にご依頼頂いた時の画像もありましたので、続けてそちらも紹介をさせて頂きます。

 こちらはイエローのパールとグリーンメタリックの組み合わせで塗装しています。

 こちらも蝶番は分解出来なかったのでこのままの状態でテンプルとフロントを二回に分けて塗装しています。

塗り分け箇所は、塗装屋さんが見てもマスキングで塗ったとは判らないような仕上がりに出来てるかと思います。