CB400フェーエルタンク 下準備

cb2 こちらもお待たせしております。サフェーサーが完全硬化したのでまずはラインの色を作成します。ちなみにベースカラーの黒はSTANDOXの原色の黒を使用しているので調色は不要です。これがまたオリジナルカラーだったりすると調色作業が必要となってしまうので危なかったですね(更なるコスト高です・・・)。

ちなみにラインは単なる白に見えますが実際には色々入ったベージュです。前回塗った時は色見本帳より選んで頂きましたがこちらは配合データが無い色見本帳なので新たに色を作らなければならないのです。しかも元の色とそこだけ違ったらマズイですのでかなりしっかりした調色が必要です。この辺が単なる「色の作成」と「調色」との違いですかね。前者は5分程度の作業で終わるのでサービスで対応出来ますが(1色までですが)、後者は毎回テストピースに塗装~乾燥を経て色合わせをしないとならないのでどうしても手間と時間は掛かりますから調色費が必要となってしまうのです。何卒御理解頂ければ幸いです。

cb3 使った原色は6種類くらいで、かなり色味が含まれたベージュでした。珍しいところではグリーンも使っています。

cb4 サフェーサー部分を平滑に研いだら全体的に#800で足付け処理をします。裏側も塗る予定なので同様に足付け処理をしておきました。

cb5 そして念の為ラインの形を転写しておく事にします。履歴を調べたら当初も型紙を使って左右の形を揃えていたので今回は反対側のラインを元に型紙を作る事にしました。

まずは元の白いラインに沿ってラインテープを貼り、その上に紙を固定して貼ったら鉛筆の芯を擦ってラインの角を転写させます。所謂「石摺り」の手法ですね。

cb6そしてラインにそってハサミでカットしたら型紙の完成です。ちょっと歪んでいますがライン曲線の参考として使うだけなのでこの程度でOKです。これで上のラインと下のラインの目安が出来たので本塗り中では比較的ストレスが少なくラインが引ける予定です。実際は使わないかも知れませんが備えあえば、ですからね。

cb7ちょっとオマケ的な紹介で、マスキングの手法の一つとして「端を折りたたむ」といった方法があります。学校では「マキシテープ」と習った記憶があるのですが他では聞いた事が無いので私の勘違いだったかも知れません。

こういった箇所は塗膜の際が微妙にボケたような感じで、恐らく新車時ではこの穴に何か填め込む物があるのだと思います。ただテープを貼る様なマスキング方法とは違うのでフチがグラデーションのように微妙にボケた仕上がりになり、簡単且つ中々綺麗な仕上がりになっているのです。

ただ場末の塗装屋にはそういったアイテムは持ち合わせていないので手持ちのマスキングテープで対応するのですが、やはりここをバツ切りにするのは頂けないのでこういった場合はこのマスキング方法で対応するのが普通です(多分)。

画像では6ミリ幅のマスキングテープの3分の1を折りたたみ、4ミリ幅のテープにしてあります。その半分2ミリ幅は裏側に折り込まれているので粘着しませんから塗った時にここが「ヒラヒラ」となるのです。これが微妙なボケを演出して(上手く行けばですが)新車時と同じような仕上がりになるのです。ちなみに前回の塗装でもこれは行っていたようで一応自然なボケ際には出来ていました。

このマスキングは自動車ボディの塗装でも多用され、クォーターパネルとドアを一緒に塗る時などに内側のマスキングでよく使われます。この隙間に専用のスポンジなどを使ったりもしますが私的にはこの方法が一番綺麗に仕上げられますかね。自動車ボディの塗装では部品をわざわざ外したりしなくても「着けたまま塗ったとは思えない仕上がり」にする技術が必要なので色々覚えさせて頂きました。あの経験が無ければ今の私は無いと思います。

という事であとはタイミングが来たら本塗りになります。作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ちくださいませ!

 

プリウステールランプ 本塗り

prius11 そしてこちらもお待たせしました!プリウスのテールランプですね。レッドキャンディーに塗られているのは元々で、今回はこれに「極薄目と薄目の中間」のスモーク塗装で承っております。左が足付け処理後、右が処理前の状態です。これだけでも全然違う物に見えてしまいますね。

prius12 既に一度塗られている物なので今回はプラスチックプライマーの塗装は必要ありません。プラスチックプライマーは「素材がプラスチック」の物に使うのではなく、「被塗面がプラスチック」の場合に使う事に意味があるのです。また「FRP」はまたの名を「強化プラスチック」と呼びますが、こちらはポリエステル樹脂とガラス繊維の複合材なのでこれにもプラスチックプライマーは必要ありません。ちなみにプラモデルでよく使われるPS(ポリスチレン)は塗料に対して自らが侵される(溶かされる)事によって塗料が密着するのでプライマーを塗らなくても簡単には剥がれないのです。ただし当店で使うような自動車補修用塗料だとPSは表面が溶けてしまうのでそのままでは塗れないという弊害があったりします。ラッカー系塗料では大丈夫でもウレタン系だと溶解力が強くて侵してしまうんですよね。

prius13 スモーク塗装が完了したらクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

prius14スモーク濃度で一番御用命が多いのがこの「極薄目と薄目の中間」でして、この程度の濃さならノーマルの電球のままでも周りに迷惑が掛かる事も無く、またディーラーなどでの車検の際にも「ん?これってスモーク?あれ、でもこれって純正だ」と言うレベルかと思います。純正の状態を知っていればこれが塗られた物だとは判る筈ですが、知らない人が見たらわざわざスモークにしているとは思わないでしょうね。なのでスモークにしたからといって下品になるという事は全く感じ無いと思います。「スモークは好みじゃないけど派手過ぎるのがちょっと嫌」と言う方にお勧めな濃度かと思います。これがまさに日本人的な感覚にピッタリなんでしょうね。

それではこちらも完成次第改めて紹介させて頂きますね。もう少々お待ちくださいませ!

オデッセイテールランプ 本塗り

odyssey16 紹介が遅れましたがこちらも無事本塗り完了しておりますので御安心ください。昨夜アップしたかったのですが途中で力尽きてしまいまして・・・(謝)。

画像は足付け処理が終わってクリーニング済みの状態で、今回はクリアーレンズ部分は塗らないでその周りのみを「極薄目」のスモークで承っています。ちなみに内部にあるオレンジのプラスチックプレートは前回「極薄目」のスモークで塗装済みです。そちらの完成画像はこちらになります。

odyssey17そしてクリアー抜き部分をマスキングしたら本塗り開始です。この時点で最後の脱脂作業で、被塗面にはもう素手では触れないようにします(これ以前にも当然気をつけていますが)。

odyssey18 ちなみに「極薄目」の濃度となると、塗っている本人(私)でも今どれくらいの濃さなのかの判断で迷います。そうなるとついつい濃度を上げてしまいがちになりますが、そもそも極薄目の濃度は「スモークっぽくはしたくない」と言うご意向があるので「ちょっと濃過ぎたかな」となるともうアウトです。しかも一旦ムラが発生するともうどうしようも無いので、こういった事も含めて薄いスモークは色々と難しいんですよね。

ちなみに濃度の確認については、画像のように「マスキングテープを貼ってみる」という事が有効です。テールランプ単体で見るとまだ全然スモークが掛かっていないように見えても、塗装前に貼ったマスキングテープの上に新しいマスキングテープを貼ってみるとどれだけ黒くなっているかが判ります。「長年の経験による勘で」といった事は場合によっては良いのかもしれませんが私的には余り当てに出来ないものだと感じているのでやはり何かしら指針となる物は必要だと思います。

odyssey19 スモーク塗装が完了したらマスキングを剥がし、プラスチックプライマーを塗布したらクリアーを塗ります。これ単体で見てもスモークが掛かっているとは思えませんよね。ただ先程のように何かと比べて確認してさえすれば「ちゃんと狙ったスモーク濃度になっている」と確信が持てるので安心出来るのです(私がです)。実の所、自分でやっている仕事には余り自信を持っていない所があったりするので、ほぼ全ての仕事で「本当にこれで大丈夫なのか」と疑問を持ちながらやっていたりします。まあむしろそうでなければ気付かない内にレベルが下がってしまったりするのでそれくらいが丁度良いと思ってはいるのですが(しかし胃が・・・笑)。

odyssey20そしてクリアーを塗ったら本塗り完了です。お待たせしました!

オレンジのインナーレンズと外側の赤いレンズ部分が丁度同じくらいの「極薄目」のスモークになっているのが判ると思います。既にブースからは出ていて、外で見た状態ではこの画像よりもコントラストが効いて角度によって出る黒味が良い感じに出来ていると思います。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

LOOK695カーボンフレーム部分塗装 完成

look_1 大変お待たせしました!LOOKのカーボンフレームは本日無事完成となります。ちなみに今回の塗装は部分的な塗装で、全体の塗装は以前塗らせて頂いた物です。今までの全ての流れを確認する場合はこちらをどうぞ。

look_3今回補修塗装したのはシートステーの左側になります。カーボン補修専門のショップさんで修理されたようですがそこだけ包帯を巻かれたように太くなっていたのがオーナー様的に気に入らないとの事で、極力厚みを残しつつ不要な部分は除去する事で対応しました。上の画像をよく見ると後方が太くなっているが判ると思います。ただし言われなければ判らない程の緩やかな傾斜には出来ていると思います。見比べるには最初の画像を見た方が早いですかね。

look32当店に到着した時はこんな感じでした。損傷そのものは折れたとかでは無く内側に多少の欠けが出来ただけとの事でオーナー様のご意向としては外側は削り落として構わないと言う事でしたが表側もちゃんと残していますし裏側は殆ど残すようにしていますので御安心くださいませ。

ちなみにあえて段差を残したたままにしたような施工例もあります。systemsixこちらは以前御依頼頂いたcannondaleのsystemsixなるモデルです。アルミとカーボンで構成されたフレームで、その繋ぎ目部分の腐食が激しく当店にてファイバーを巻いて補強しました。ダウンチューブ根元部分が一段太くなっていて、チューブの途中でフランジ状になって太さが変わっているのが判ると思います。この案件の紹介ページはこちらをどうぞ。

look_4ロゴの部分についても綺麗に残せました。ロゴは塗装では無くカーボン素地を活かしているので水色で塗り潰して塗り直すという事は出来ないんですよね。以前作成したデータが残っていて本当に良かったです。

look_2 こちらのフレームはバリバリの現役でトライアスロンで使われているようなので多少なり傷や擦り傷もありましたからタッチペン&全体的なポリッシュもし直しておきました。こういった時くらいはサービスでやらせて頂きますので。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度も当店をご利用頂き有難うございました!

Z33テールランプ 本塗り

z33 こちらも無事本塗り完了しております。Z33用の社外品テールランプです。

隙間にシリコンシーラーが使われていたのでそちらを除去後、マスキング~足付け処理をして下準備を行っておきます。その後やはり本塗り当日までは一旦寝かしておきます。

現在はこの「寝かす為の保管場所」が足りなくなってしまい結構困っていました。狭い場所に置けば何かの拍子に傷が付いてしまうなどのリスクがあって、特に塗り終わった物に関してはいつそういった事故があるか怖かったのです。で、何とかようやく移転先の工場も決まりつつあるので今後はそういった事にも対応出来そうです。作業の導線がちゃんと繋がれば安全性に加え作業効率も上がる筈ですしね。

z331 そして本塗り準備完了です。平面ラインに半球体が飛び出たようなちょっと面白いラインをしています。得てしてこういったラインはタレ易いので注意が必要ですかね(と塗る前にそう思えるなら大抵は大丈夫で、気付かないで塗ってしまうとやはりタレてしまうのです)。

z332 そして本塗り完了です。濃度は「極薄と薄めの中間」で、クリスタルクリアーでの対応となっています。尚今回のターンで塗っているご依頼品は全てクリスタルクリアーで塗っておりますのでその他のレンズ系も同じ様にこちらのクリアーで対応しております。御安心下さいませ。

z333LEDを使ったテールランプの場合は内部の反射板は細かい形状になっていて、それがちょっと派手な演出となってしまいがちですが、スモークが掛かって深みが増すとこれが丁度良い具合になってくれたりします。見る環境によってのコントラスト(濃淡)がはっきりするので機械的で格好良くなるんですよね(私的見解ですが・・・)。透明感のある薄いスモーク塗装は「黒くする」というよりは「落ち着かせる」「渋くする」といった効果が得られるかと思います。その分「粗」が目立ち易いのでプレッシャーは高いんですけどね(苦笑)。

それではこちらも来週には完成出来る予定です。もう少々お待ち下さいませ!