メルセデスW124 M103ヘッドカバー 本塗り

先日重防錆仕様のプライマーサーフェサーを塗っておいたメルセデスベンツW124 M103エンジンのヘッドカバーです。その後全体を軽く研磨して足付け処理を行い、よく脱脂清掃後、ホースパイプ取り付け部にベースコートの黒を塗っておきました。

各部をマスキングし、

結晶塗装用の塗料=リンターを塗布します。

今回は結晶塗装関係の4案件を同時に行っていたのですが、なんと塗った全てを塗り直すという事態になり、その後数日に別けてそれぞれを仕上げています(画像は初日に全部一緒に塗った時です)。

こちらのヘッドカバーも一回目の本塗りでは色々と思う所があり、後日改めて塗り直す事としました。

どの結晶塗装も一回目の仕上がりが全然ダメかというとそうでは無く、二回目を塗ればもっと良くなるのでは、と思っての塗り直しとなっています。

結晶塗装を始めて初期の頃はそんな事は全く無かったのですが、細部を気にするとその後ずっと悶々としてしまい、5回に1回くらいの塗り直しがその後3回に一回となり、今回は4回分全てをやり直す!という事態になってしまいました。納期を長めに設定しているのはこういう事態も想定しての事ですが、ただそれも含めて商売としては良く無い傾向かも知れませんね。

恐らくは東京都から借りていたお金の返済が終わったという事もあり、ブレーキが緩んで自分に歯止めが効かなくなってしまっている所があるのかも知れません。なので結晶塗装はいずれ受付を停止しなければと考えています。

こちらもこの後は120℃30分程の熱を掛けて2度焼きを行います。恒温機で行うので、最近塗った結晶塗装関係は全て同時に行えるのが良いですね。

尚こちらはフィン部の研磨は行わず、オイルキャップ取り付け部のゴム当たり面のみ研磨しておきます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

BMW Motorrad R nineTヘッドカバー 本塗り

先日フィン凸部の上面を粗研ぎしておいたBMW Motorrad R nineTのシリンダーヘッド(2バルブスタイル)一式です。

既存の塗膜は比較的しっかりしているので剥がさず、足付け処理の為にサンドブラストを行います。

当初はウェットブラストを使おうと思っていましたが、結晶塗装は素地の粗さ(粗いペーパー目等)を目立たなくしてくれる効果がある為、だったらという事で作業性が良く確実に足付け処理が出来るサンドブラストにする事にしました。

サンドブラストというと「既存の塗膜もそのまま削れる」と思いがちですが(私もそう思っていました)、当店にある吸い上げ式ではそこまでの威力は無く、またブラスト専門店に御願いをした場合でも塗膜を剥がしてから行う場合があるとの事です。ちなみに以前依頼をした際、作業を担当された方が塗膜を残ったまま直圧ブラストを行い、部位によってブラストの当たりにムラが生じて被塗物に穴が開いてしまう!という事態になり、その後は塗装を出来るだけ剥がした状態でお願いする事になりました。サンドブラストは固い物には有効ですが、柔らかい物だと効かないんですよね。尚そちらの案件はオーナー様も内容をよくご存じで既に解決済みとなります。

その後シンナーで洗い流すようにして全体を洗浄し、

全体にプライマーを塗布します。見た目では素地のアルミが露出した箇所は見当たりませんでしたが念のためですね。

カバーパネルの裏はベースコートの黒を塗っておきます。

本体の方も裏側が段になっていて表から塗るとそこに色が入らないので先にベースコートの黒を塗っておきます。

そして全体に結晶塗装用の塗料=リンターを塗布します。

そのまま塗るとフィンの間には塗料が入らなく、なのでノズルを細くして一本ずつ塗っていきます。

その後140℃程の熱を掛けて本塗り完了です。お待たせしました!

予め削ったフィンの部分はそのまま塗っていますが、後日再びここを研磨してアルミ地を光らせます。

ちなみにこちらもカバーパネル部分は上手く結晶目が揃わなかった為、一旦洗い流して塗り直しています。

初めて結晶塗装を行った時は「誰が塗ってもチヂミ模様が出る簡単な塗装」と思っていましたが、その後「美しい結晶目」を気にするようになってからは、この塗装が一番難しい作業になってしまいました。

こちらも後日もう一度120℃30分程の熱を掛けて二度焼きし、その後フィン部を削ります。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NISMOフューエルキャップ塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗りを終えていたNISMOフューエルキャップの塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

元々はシルバーが塗られていた物に、

日産純正色のブリリアントシルバー(カラーコード:K23)で一旦仕上げ、

その後再び下地処理を行った上で「NISMO」の凹み文字部を塗装、全体にクリアーを塗っています。

よくありがちな窪みに塗料を流し込む方法では無い為、経年によってその部分が浮いたりペリペリと剥がれたりする事はありません。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの使用となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

TOYOTA TE47 2TGヘッドカバー 本塗り

先日お預かりしておりましたトヨタTE47搭載予定の2TGエンジンヘッドカバーです。最初にアルカリ洗浄槽に浸け込んでオイル汚れを除去し、その後溶剤槽に浸け置きして旧塗膜を剥がしておきました。

ワイヤーブラシで塗膜を擦ってはまた浸けてを繰り返し、ゴミを出さず(剥離剤を使わず)綺麗に除去出来ました。

全体には年式相応の腐食が出ていたので、

サンドブラスト(軽め)を行いました。

その後リン酸処理を行い、

洗浄してしっかり乾燥させたら本塗り準備完了です。

まずはプライマーを塗布します(画像撮り忘れておりました・・・)。

続けて結晶塗装用の塗料=リンターを塗布します。

結晶目は塗膜の厚さによって変わり、こちらはウェットで6コートくらい塗り込んでいます。

その後140℃程の熱を掛けて塗膜を硬化(熱重合)させると、全体に結晶目が現れます。

当時のヘッドカバーは比較的粗目の結晶塗装が施されているのでそれをイメージしています。

ちなみに一回目の本塗りでは上手く結晶塗装が出せず(結晶目が細か過ぎました)、一旦溶剤槽に入れて全部洗い流してからやり直しています。

塗料メーカーのマニュアルとしてはこの状態で焼き付けは完了していますが、これだけだとどうも柔らかい感じがするので、後日今度は恒温機で120℃30分程の熱を掛けるようにします。その後凸部を研磨してアルミ地を光らせます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

Bentley Monitor Frame

先日お預かりしておりましたベントレーに装着されるケンウッド社のモニターフレーム二個です。既に完成して発送も済んでおりますので、施工例として纏めて紹介させていただきます。

元々は未塗装の黒樹脂にKENWOOD等のロゴがプリントされていて、

そちらをこのような内容での塗装作業を承りました。

送って頂いたデータのサイズをフレームに合わせ調整し、実際にプリントアウトした物を被塗物に貼って確認します。

サイズが決まったらそのデータを基に、

デカールを作成します。

デカールは市販の物を使い、印刷についてはALPS社のドライプリンター(MD-5000)を使っています。

通常家庭用プリンターで白やメタリックを印刷する事は難しいのですが、こちらは昔ながらのインクリボン方式で、極少量のデカール作成でも低コストで作れるのが可能となっています。

デカールの作成についてはこちらの記事でも紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

デカールが出来たら塗装の準備を行います。

ロゴがプリントされている箇所は砥石を使って平らに研ぎ、

さらに成型時の歪を均すよう#800で水研ぎし、最後に当たりの柔らかい布状研磨副資材(アシレックスレモン)を使って細部の足付け処理を行います。

その後台にセットし、

よく脱脂清掃を行い、プラスチックプライマーを塗ったら本塗り開始です。

まずはベースコートの黒を塗布します。

ベースコートとなると単に着色をする為だけの簡単な塗装と思われがちですが、ドライコートで肌を荒らすとそれが後々まで影響して艶引け等の原因にもなりますし、かといってウェットに塗ると思わぬトラブル(チヂレやクラック)が生じる事もある為、実際にはクリアーを塗るよりも多く気を遣う工程です。

ベースコートが乾いたらロゴ入れの作業となります。

予め印刷しておいたデカールを、ロゴより少し大きめにカットし、

木工用ボンドを溶かした水に入れて台紙を剥がし、専用の接着剤(マークセッター)を使って所定の位置に貼り付けます。

この後は恒温機に入れて40℃15分程の熱を掛けてしっかり乾燥させ、

再び台にセットし、

タッククロス(粘着剤が塗布された不織布)とエアーブローを使ってしっかり埃を除去して、

クリアーを塗って本塗り完了です。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

後日塗膜が完全硬化したらデカール箇所を#1500で研いで段差を均し、その後ポリッシュして完成です。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!