大変お待たせしました!ピナレロのONDAカーボンフォークは無事本塗り完了しておりますのでご安心下さいませ。
上の画像は先日塗っておいたサフェーサーを研いでいるところです。
水気をよくとったら綺麗に脱脂清掃し、工場の二階に移動してマスキングを行います。
今回色を塗るのは水色の部分のみで、しかも塗るのは水色の部分全体では無く、その範囲の中でも範囲を抑えてボカシを行います。恐らく車体の方にも同じ水色が残っている筈なので、極力既存の色を残そうという事と、マスキングの際のラインもオリジナルの物を崩さないようにしようと言うことですね。マスキングするラインは既存のラインより髪の毛一本くらいを水色の外側に貼る様にします。
ベースコートは極力他の部分に飛ばしたくは無いので、最初はこんな感じで軽くマスキングをしておきます。
またいきなり色を塗るのではなく、最初はベースクリアー(色の着いていないベースコートみたいなもの)を塗っておき、この後に塗る水色が馴染むようにします。ミストが静電気で変な模様を描いたりするのでその防止の為とかもですかね。車の塗装でもベースコートを暈す場合はほぼ100%これは行います。
サフェーサーの部分が水色で完全に隠蔽したら養生紙を剥がし、グラデーションを掛けるような感じで色をボカしていきます。カーボン地と水色の境界線に貼ったマスキングには色が殆ど飛んでいないのが判ると思います。
ここからいきなりクリアーを塗っても良いのですが、糊ハジキなども懸念されるので念の為全体にもう一度ベースクリアーを塗布してからのクリアーとなります。艶消し(半艶も)のクリアーでハジキとか出たらもうお終いですからね(艶有りの場合は後で行う磨きで復活は出来ます)。
クリアーは艶消し専用の2液ウレタンクリアーで、これは新車の時点で塗られている物と同じと考えて頂いて大丈夫です(勿論メーカーや商品自体は違うと思いますが基本的なところでは一緒です)。
塗り方はいつもの艶々のクリアーと同様、ウェットに2コート行います(ただし少し控えめには塗っています)。
その後自然乾燥で一時間くらい立つとこんな感じに綺麗に艶が消えてくれます。ただし表面が乾くまではホコリが付くとくっ付いてしまうのでその間ブースのファンは止めず、常にクリーンなエアーが降り注ぐようにしておきます。と言うか大抵のゴミは自分から出ているので、君子危うきに近寄らずって感じですかね。
まだ熱を掛ける前ですが、良い感じに仕上がっているのが判ると思います。艶消しでもツルンとしていて綺麗ですよね。
言われなければ塗り直したとは思えない仕上がりに出来ていると思います。
ちなみに費用についてはやはりと言うか結構な金額が掛かっていまして、もしかしたら新しいカーボンフォークが買えるくらいかも知れません。今回はもう部品が入手不可能で、ただこのカラーリングを何とか残したいという事での御希望だったのだと思います。他に大きな傷が無かったというのも幸いだったと思います。
尚今回と同じようなお問い合わせは多いのですが(特にフレーム)、大抵の場合は新品部品よりも金額は高くなりますのでどうかその辺をご考慮の上でご検討頂ければと思います。調色とかマスキングなどの作業は勿論ですが、各作業でとにかく気を遣うので想像以上に手間と時間が掛かるのです。どうか御理解頂ければ幸いです。
それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!