先日サーフェサーを塗っておいたトヨタTE47のルーフサイドモール×4本です。
既に完成して発送も完了しておりまして、改めて途中工程と完成画像を紹介させて頂きます。
サイドモールは全体にエポキシプライマーサーフェサーとウレタンサフェを塗った後、60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っておきました。
#600で粗研ぎし、その後#800で整え、最後に当たりの柔らかい布状研磨副資材(アシレックスレモン)でペーパー目を均します。心配だったひび割れは研いでみた感じでは出て居なく、この時点では止まってくれたようです。
その後よく脱脂清掃し、台にセットします。
最終脱脂処理を行い、プラスチック素地が露出している箇所にプラスチックプライマーを塗布しておきます。
サフェを塗る時は一本のアルミ板で支えていましたが、念のため2本で固定するようにしました。
まずはベースコートの黒を塗ります。
本物のメッキような塗装=メッキ調塗装の場合は、この時点で下地を艶々の黒にする必要がありますが、その上に足付け処理無しで色を重ねた場合は密着性が悪く、なので簡単に剥がれてしまう傾向にあります(碁盤目テストにガムテープを使って一升も剥がれないという結果になりません)。
今回採用する3コートSPFシルバーはそういった物とは全く違い、通常通りベースコート+トップコートで行う2Kシステム(2komponent)のシステムとなるので、後でペリペリと剥がれるといった心配がありません(componentで無いのはドイツ語だからで、恐らくはそれらの技術(樹脂)が最初に確立したのがドイツだったからだと思われます)。
そしてSTANDOX原色のJLM-906を、9倍の樹脂(MIX599)で薄めたSPFシルバーです。とても目が細かいシルバーで、しかし既存のメタリックに比べて透かしが黒く、ただしそれ単体よりさらに今回のように下地に黒を塗って透かす事で金属っぽい質感に見せる効果があります(ただしムラになり易いので大きい面積には難しいかと思います)。
JLM-906:MIX599(バインダー)=1:9ですから隠ぺい力が弱く、下地の黒を透かしながら3コート程を塗り重ねています。
そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!
クリアーには軟化剤を入れ、フルフレキシブルな仕様としています。
クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。
ブース内だと全方向から光が当たっているので陰影が判り難いのですが、
照明を一か所(天井のみ)にすると、通常のシルバーメタリックでは得られない金属感が出ているのが判ると思います。
金属は塗装とは違いますが、その見た目は「正面が明るく透かしが暗い」という特徴があるので、今回はそれを塗装で表現して似せて見せていると言う訳です。
一応参考までにメッキ調の塗装を紹介しますと、
近年材料が良くなったのでこれくらいのメッキ感は比較的簡単に出せるようになっているのですが、色がブレ易いのと、下地とクリアーどちらにも殆ど密着しない為、実用性は全くと言って良いくらいありません(ですのでお受付もしておりません)。以前業者様から「PVの撮影だけ使えれば良い」という事で7本の内の2本をこの塗装で施工しましたが、やはりと言うかその後実用(!)している内に剥がれてしまったとの事で、ただ「その他の塗装は傷すら着かず素晴らしいです!」とご報告頂きました。ですのでこちらはショーケースの中で飾って楽しむ為の塗装ですね(ですので繰り返しますが当店ではお受付しておりません)。
その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、さらに数日寝かしたら完成となります。
塗膜構成としては、
「プラスチックプライマー→エポキシプライマーサーフェサー→ウレタンサーフェサー→ベースコート黒→ベースコートSPFシルバー→トップコートクリアー」 といった内容になります。
クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。
各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。
通常のシルバーメタリックに比べ、粒子がとても細かく正面が明るく透かしが黒いのが特徴で、
さらに下地の黒を透かす事によってコントラストを上げているのが3コートSPFシルバーの特徴となります。
全体にあった細かいヒビ割れ等は全て払拭出来ているかと思います。
こちらのオーナー様からはヘッドカバーの結晶塗装もご依頼頂いておりまして、そちらも作業が進行次第改めて紹介をさせて頂きます。
まずはこの度のご依頼、誠に有難う御座いました!