AP RACING Brake Caliper

ap9 五年くらい前に塗装したAPレーシング社のブレーキキャリパーです。最近お問い合わせを頂いたので改めて一連の流れを施工例として紹介させて頂きますね(ただちょっと画像が足り無いのですが・・・)。

ap10 APのキャリパーに良くありがちなのがこの凹み文字部分の塗装の浮きですが、一般的にはこれを見て「熱で塗料が縮んだ為」と思いがちですが実際はそうでは無く、原因は単なる密着不良です。こちらでもよく紹介していますが、アルマイトの上に直接上塗り塗料を塗っても密着はしませんから結局最後はこうなります。これはもう確信犯ですよ。

ap8 と言う訳で全体をサンドブラストで表面を荒らし、この後に塗るプライマーが密着するようにします。塗装がされていなければ化学的な方法としてリン酸処理が使えそうにも思えますが、やはりアルマイト皮膜があるとそれも効かないのです。一見アルミ無垢のようみ見えますが、実はこのアルマイト皮膜は塗装する上では厄介なのです。

ap6 キャリパーの色は「赤」で承っていますが、リヤキャリパーは凸文字の部分を「白」で御指定頂いていますので、ちょっと変則的ですが先に「白」の塗装で仕上げます。クリアーも塗っているのでここで熱を掛けて一旦完全硬化させます。

ap5 その後下地処理をした後に今度は全体をレッドに塗装し、凸文字部分を削って最初に塗った白を露出させたら再度クリアーを塗って本塗り完了です。この部分を白にするだけですが工程としては2回分の塗装を行うので結構手間が掛かっています。

ap4フロントキャリパーは先ほどのリヤとは逆に文字が凹んでいます。こちらも少し変則的な方法で、まずは文字の周りを赤で塗装し、やはり一旦熱を掛けて完全硬化させます(クリアーも塗ってあります)。

尚キャリパー全体を赤で塗っても構わないのですが、足付け処理作業などの手間を減らす為に赤は分部的に留めています。手間を掛ければその分の費用は御依頼主の負担となるので、何でも好きなようにやると言う訳にはいきませんからね。

ap2 白を塗るのは文字の周りだけでOKです。と言うか後で除去する事を考えるなら薄膜で済ませた方が間違いなく楽ですので。

ap1 その後余分をシンナーやペーパーで除去し、文字の周りをマスキングしたら全体に赤(ベースコート)を塗布します。

ap その後文字部に貼ったマスキングを剝がし、全体にクリアーを塗って本塗り完了です。

ap11 新品などの塗装方法であれば先に本体を塗って後から凹んだ文字部のみ塗装する(または塗料を流し込む)と言う方法になると思いますが、この塗装方法であれば足付け処理はされた上に塗装が行われていますし、最後に全体をクリアーで覆われていますから後で文字部分の塗装だけが剥がれる、と言う事はありません。

ap12 ちなみに「費用を抑えたい!」と言う事であれば、御依頼はキャリパー本体の塗装のみで、文字部分は自ら筆で塗ると言うのでも構いません。その場合の塗料はプラモデル用の水性やエナメル系、フタル酸系のペンキなどを使えば失敗しても拭き取れるので大丈夫です(それでキャリパー本体の塗装が溶けると言う事はありません)。

耐久性は無いので定期的に塗り直すと言う事は必要ですが、自分でやるのが好きな方であればそれも良いと思います。

ap14リヤキャリパーは鋳型の仕上げそのままのようですが、フロントキャリパーは削り出しの仕上がりなので、カチっとした塗装との相性はバツグンと思います。

ただし塗装屋の観点からすると、耐久性に関しては塗装よりもアルマイト(硬質)の方が優れていますので(それ故にレーシングキャリパーはアルマイト仕上げな訳です)、見た目を気にするのでなければアルマイトのままの方が良いかも知れません。何事も絶対は無いのです。

NISSAN RB26エンジンパーツ一式 凸文字加工

rb2639 こちらもお待たせしました!RB26エンジンパーツも作業着手しておりますのでご安心下さいませ。

まずはタイミングベルトカバーの「RB26」の凸文字を「RB28」に変更する作業からとなりまして、先に軽めのサンドブラスト処理を行っておきます。

rb2640 裏側のシーラーも外しておきましたので塗装後に元のように接着しておきますね。

rb2641 今回作製する「8」は以前データとして作ってあるのでそれを基にマスキングシートを作成し、2ミリ厚のアルミ板に貼ってこの形通りにカットすると言う方法です。

rb2642 まず「8」の穴の部分にボール盤を使って穴を開けます。普通に穴を開けるだけですが、先日購入した簡易フライスが超絶便利過ぎてでビックリしました・・・。

rb2643 こんな感じで粗切り完了です。

rb2644 その後ベルトサンダーやら金ヤスリである程度研いで、

rb2645 マスキングシートを剥がしてさらに形を整えていきます。

rb2646 元々あった「6」をベルトサンダーで削り落とし、ダブルアクションサンダーを使ってラインを均しておきます。

rb2647 「8」の裏側もダブルアクションサンダーで足付け処理をしておき、よく脱脂をしたら接着剤を塗布します。

rb2648 今回使ったのは3MのDP-460「オフホワイト」なる接着剤で、パッケージにも説明があるように金属同士の接着にとても優れた製品です。ビスフェノールA型のエポキシ樹脂ですね。

rb2649 位置を決めたらマスキングテープで固定し、当て板(今回は透明なアクリル板)を当ててバイスグリップで固定します。何故当て板にアクリル板を使ったかと言うと、バイスで掴んだ時にもし文字が曲がってしまっても判るようにですね。ちょっとでも曲がってくっ付いてしまったりしたらもう取り返しがつきませんので・・・(削り落とせば大丈夫ですが)。

rb2650その後150℃くらいの熱を掛けて完全硬化させます。ちなみに接着剤はわざと溢れるくらいに盛ってあって、この後接着剤が硬くなる前にカッターで削り落としていきます。

最初の頃はこの接着材が溢れるのが嫌なので点付けで行っていたのですが、いざ塗装してみるとちょっとした隙間でも結構目立ってしまったので、それからはこの方法で隙間が残らない仕上がりになるようにしています。

rb2651余分を切り落とし、最後にペーパーで均して完了です。

この時点ではまだ「8」だけが一段高くなっているのでちょっと不恰好ですが、後日他の文字と同じ面まで削ればもっとシャープさも出て良い感じになると思います。どうせなら今日中に削っておきたかったのですが、如何せんもう音を出せる時間では無くなってしまったので、改めて週明けにこの続きを行う予定です。

どうぞもう少々お待ち下さいませ!

日産マーチヘッドカバー 結晶塗装 完成

march26 こちらもお待たせしました!日産マーチのヘッドカバーも結晶塗装で完成となります。

march27 こちらはいつもより黒目の赤で承っておりまして、イメージとしては日産FJエンジンのドス黒い赤みたいな感じでしょうか。

march28 ちなみに私が知っている日産マーチのヘッドカバーとは大分イメージが違うので、一応そういったキーワードで画像検索しましたが、出てくるのはうちのウェブサイトで紹介している画像ばかりと言う始末でして・・・。

march30そもそもご依頼されている方がどうもプロっぽい方なので、もしかしたらちょっと特別なエンジンなのかも知れませんね。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

NDロードスターヘッドカバー結晶塗装 完成

road244 こちらも大変お待たせしました!NDロードスターのヘッドカバーの結晶塗装も本日完成となります。

road245 色は先ほど紹介したNSXのヘッドカバーと同じく鮮やかなイタリアンレッドの結晶塗装となります。フェラーリのヘッドカバーに塗る時に使う色と同じですね。

road246 最近の車はヘッドカバーの上にプラスチック製のカバーが着いてエンジン自体を見る事が出来なくなっているみたいですが、この新型のロードスターはそうでは無いみたいなので塗装した後での効果は期待出来る模様です。

多分今はまだアルミが腐食していないので綺麗な銀色をしていると思いますが、いずれ皆さんもれなく黒ずんでしまいますから、きっと数年後には塗装のご依頼も増えてくると思います。ただ予想以上にヘッドカバー自体が安いので(確か新品で2万円しなかったかと)、わざわざ塗装はせずに、新しいのに交換して終わりと言う可能性も否めませんが・・・。

road247それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

HONDA NSXヘッドカバー結晶塗装 完成

nsx30 大変お待たせしました!ホンダNSXのヘッドカバー、本日完成となります。

nsx31 色は鮮やかなイタリアンレッドの結晶塗装で、また今回の素材は腐食し易いマグネシウム製と言う事もあって耐食性の高い重防錆仕様となっています。

最初の状態も紹介しますね。

nsx17純正の場合はプラグホールやネジ部分などは塗装していないのですが、そこから腐食が発生するのが嫌だったので今回は一旦全体にプライマーを塗り、その後それらの箇所に黒を塗ってからマスキングをして結晶塗装を施しています。

nsx32 今回のご依頼はオーナー様から直接でしたが、発送先は整備工場さんだったので、恐らく車体のエンジンを整備中にこれを塗装するといった感じなのでしょうね(お待たせしてすいませんでした・・・)。ちなみに梱包が非常に丁寧だったのできっと作業も丁寧にやっておられるのだと思います。

nsx33 ちなみに二個のヘッドカバーはてっきり形は同じ物で穴の有無だけが違う物かと思っていましたが、実は長さが違う!と言う事に気付きました(当然形も)。

nsx34塗膜を近くで見ると結晶目はこんな風になっています。遠めに見ると単にボディーシューツを塗ったみたいに見えますが、実際は綺麗にチヂレ目が形成されているのが判ると思います。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!