CERVELOフレーム 旧塗膜剥離

cerveloこちらもお待たせしております。CERVELOのアルミ製フレームですね。

画像ではちょっとひどい感じがしますがまだこれは剥離作業の途中でして、常時浸けてある溶剤槽から時々出してはスクレーパーとワイヤーブラシを使って旧塗膜を剥がしています。剥離には強力な剥離剤を使っていると言う訳では無く、廃シンナーなどを貯めた水槽に浸けているだけなのでちょっと時間が掛かるのです。代わりにあの強烈なゴミは出ませんから私的にこのサイクルが気に入っているのです。何卒ご理解下さいませ。

画像で見る限りではある程度剥がれていますが、細部にはまだまだ残っているのでもう一週間くらい浸けておくつもりです。一見放置しているような感じはしますが徐々に進行していますのでどうぞ御安心下さいませ!

TRX850 アッパーカウル修正

trx6 昨日に続けてTRX850の作業を進行させています。こうなると他の作業は中々進まなくなってしまいますが、何とかキリの良い所まではやって行きたいと思いますので何卒ご理解頂ければ幸いです。

こちらは先程紹介したガソリンタンクと同じ車両のアッパーカウルで、正直こちらの方が性質が悪いです。ガソリンタンクとは違う人間が作業しているように見受けられますがどっちもどっちと言う感じです。まあある程度の覚悟はしていましたが・・・(疲)。

まずは現状の悪い箇所に印を付けます。普段は油性マジックなどは絶対に使わないのですが(塗装面にこれを使うとニジミなる大きな問題を発生します)、作業していて消えたらマズイので今回は特別です。ちなみに普段こういった場合のマーキングではクレヨン系の白を使っています(板金塗装屋さんと保険屋さんなら必ず持っているアレです)。

trx9修正が必要な箇所としては、転倒などで付いた傷や割れでは無く、それを修正した箇所を修正するのが今回のメインとなります。何を言っているのか良く判りませんね・・・続きます。

trx12まずは問題が起きているであろう箇所の塗装を剥がしていきます。こちらはタンクとは違ってちゃんと足付け処理はされていますから「塗装がペリペリと剥がれる」という事は無いのですが、塗膜の下からは凄く厚塗りされたポリパテやらステッカー(!)が出て来たりしています。

trx7 特にひどいのが割れた箇所の修理方法で、どの箇所もポリエステル系のFRPとポリパテで埋められている為か直した箇所全てで問題が発生していました。作業内容からしてプロの仕事であるのは確実なのですが、昭和のバイクと言う訳でも無いのですからもう少し何かやりよう(良い材料やその使い方)があったのでは・・・と思う次第です。

とにかく悪い箇所は全部剥がし、割れた隙間に残ったカスはカッターやピックツールで掻き出します。この後の作業で不純物が残っているとマズイんですよ。

trx10割れた箇所は半田ごてで一旦溶かして再接着します。イメージとしてはアルミの溶接を樹脂(プラスチック)で行っているような感じですかね。割れた箇所をV字型に解かしては移動して隣に盛ってを繰り返します。PP(ポリプロピレン)などでは難しいですが(私には出来ませんでした)、ABSなら溶着は比較的簡単です。

trx8 使うのは半田ごてとカウルと同じ素材であるABS樹脂です。欠けた箇所にはABS板をカットしてそれを裏当てしてさらに何枚かを重ねて厚みを確保しています。

trx11最後は掘った部分に新たに樹脂を足しつつ埋めていきます。

気をつける事としては、一度高温になって溶けたABS樹脂は体積が増えるように膨らんで、その分「密度」が小さくなっていますから強度は落ちている筈です。なのでその分裏側に沢山盛っておくとか、「ガラスクロス+接着材」などで補強しておく事が宜しいかと思います。今回は元々裏側に貼ってあったガラスクロスがそのまま利用出来る箇所はそのままで、その他はやはり盛って体積を増やして強度を高めています。

この後、溶着した箇所をサンダーで削り落としたらパテでラインを形成、そして全体にサフェーサーの塗布となります。まだまだ先は長いですが集中して作業しているので比較的進行具合は早く出来ていると思います。

どうぞもう少々お待ち下さいませ!

YAMAHA TRX850 タンク板金

trx こちらもお待たせしております。外装一式の色変えオールペンで承っておりますTRX850も作業着手しておりますので御安心下さいませ。

上の画像はお預かり時のフェーエルタンクで、側面に大きな凹みがあります。ただし当方は現在は塗装専門なので今回は知人の板金屋さんに御願いする筈だったのですが、色々な理由があり結局私自ら行う事となりました。一応以前は板金もやっていたので作業については安心して頂いて大丈夫かと思います。ただし道具は持っていないので、今回はその知人に工具一式を借りる事となりました。

trx1 ガソリンタンクの様な部品は大抵は内側からのアクセスが出来ないので外側から引っ張り出す事となります。素材は鉄なので、同じ鉄製の何かを溶接でくっ付けてそれを引っ張ると言うやり方になりますが、これはスタッド溶接機なる専用の工具があるので想像するよりかなり簡単に出来ます。まあ単に引っ張れば良いという訳ではありませんが・・・。

trx2こんな感じで凹んだ箇所にワッシャーなどを溶接しそれを引き出します。

板金は単純に考えると「凹んだ箇所を引っ張る」と思いがちですが、金属は凹んだ分その周りが高くなるのが普通なので、単にガンガン引っ張り出すと言う訳では無く、「引っ張りながら叩いて元に戻す」と言う事が基本となります。今回の場合は両足でタンクを押さえつけ、ワッシャーで固定した凹み部分を左手で引っ張りながら右手で周りの出っ張った部分を叩いてあげます。スライディングハンマーでガンガン引っ張ると言うよりはハンマリングした時の振動でジワジワと出してくるような感じで、要は極力これ以上鉄板を伸ばさないようにして凹みを元に戻してあげるようにしてあげます。

trx3 そしてこんな感じで終了です。今回は作業着手まで時間がありましたので十分に乾燥させて内部のガソリンを除去しておきましたから火を使っても無事事無きを得ました。

実は職業訓練学校の時、同じクラスの友人からガソリンタンクの穴の補修を頼まれまして、溶接でそれを埋めようとしたらちょっとした小爆発(!)が起きました。タンク内は水で満たしてありましたが若干残っていたガソリンが気化してわずかな空間に引火性ガスとして残っていたようなのです。ガソリンタンクの周りには4~5人の生徒が集まって見ていましたから火柱が上がって破裂音がした時には皆後ろにひっくり返っていました。まあこれは爆風では無く単にビックリして転がっただけなんですけどね。それ以来ガソリンタンクの修理はかなり気をつけています。

trx4 溶接跡を削ったら続けてパテ作業となるのですが、今回は旧塗膜の状態が悪いと言うことで先にある程度の塗膜を削り落としてプライマー&サフェーサーを塗布する事にしました。塗装メーカーのマニュアル上はこちらが正解ですので気にしないで大丈夫です。ただしこれをやると通常は採算が取れないので先にパテを塗るのが一般的です。エポキシパテを使うのであれば先に塗るのがベターですけどね。またはエポキシプライマーならば今度はそちらが先になります。どちらも普通は使われていないと思いますが・・・。

trx5そしてサフェーサー塗布まで完了です。これで一旦熱を掛けて完全硬化させたらパテ作業となりますが、他のパーツも全てこういった下地処理(補修)があるので続きは並行して作業するようになるかと思います。ちなみにこちらはパテが終わったらまた全体的にサフェーサーを塗りなおします。

普通こんな事をしていれば採算が取れないと言うかいつまで経っても仕事が進みませんから、勤め人であれば会社の不利益になるので上から怒られて当然です。自分のやりたいようにやりたかったらそれが出来る環境は自分で作るしか無い、といった所ですかね。または自分の理想的な事をやらせて貰える会社に勤めるかですが、そんな会社は中々無い訳でして・・・結局また自分でやる事になりました。精神的な事よりも体力的に辛い方がまだ全然楽ですからね。どうも最近はブルーカラーが見直されているみたいですが判る気がします。現場の片隅でネチネチやっている方が全然楽ですよ(笑)。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きますね。次からはABS樹脂の溶接(溶着)がメインになるかと思います。そちらは予想以上にひどい事になっているのでまだちょっと時間は掛かると思いますが何卒御容赦下さいませ・・・!